新妻の条件~独占欲を煽られたCEOの極上プロポーズ~
「瑛斗っ」

 リビングには組んだ脚の上にノートパソコンをのせた瑛斗さんがいた。レナさんは弾んだ足取りで彼に近づく。

「おかえり」

 瑛斗さんはノートパソコンから顔を上げ、レナさんから私へと視線を向ける。

「買い物は無事に終わった?」
「ええ。とりあえず今必要なものは買い終えたと思うわ」

 レナさんはあたり前のように、瑛斗さんの隣に腰を下ろす。

「紅里、疲れただろう。こっちへ来て冷たいものを飲むといい」
「は――」
「あら、買ってきた服がしわになるわ。すぐにクローゼットにかけないと」

 喉はカラカラで、返事をしようとした途端、レナさんに遮られた。

 ふたりきりになりたいのだと推測して、私はにっこり笑う。

「そうですね。先にクローゼットにかけてきます」

 ドアマンが運んでくれたショッパーバッグを、気づけばコレットさんがてきぱきと運んでくれている。私は玄関へ戻り、残りを部屋に運んだ。

「コレットさん、ありがとうございました」

 部屋の入口にショッパーバッグを丁寧に置いたコレットさんに笑顔を向け、英語でお礼を言う。

「お片づけ、お手伝いしましょうか?」
「いいえ、こちらは大丈夫です。ありがとうございます。あ、もうお仕事の時間は過ぎています」
「瑛斗さんとこれから二ヵ月間は八時までと決めたので、お気になさらず」
「そうだったんですね。私のためですよね? すみません」

 そう言ったとき、私のおなかが「ぐう~」と不満を漏らした。

「あ……」

 急いでおなかを押さえる私に、コレットさんはにっこり口もとを緩ませる。

「急いでお飲み物とおやつをお持ちしますね」

 恥ずかしくてコクッとうなずく私に微笑み、コレットさんは部屋を出ていった。

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