新妻の条件~独占欲を煽られたCEOの極上プロポーズ~
「ところで、買い物はどうだった? あまり買わなかったんだな」

 ゆったりと赤ワインを口にして、グラスをテーブルへ戻す瑛斗さんは、責めるような目つきになる。

「え? たくさん買いましたよ。あ、その件ですが、レナさんから請求されましたか? 支払うので言ってください」
「あれでたくさん? 二ヵ月の滞在では足りないはずだ。昨日も言ったが、金は日野戸さんからもらってあるから気にせずに買うといい」

 おじいちゃんは節約家なのに……どういうつもりなの?

「……とりあえずあれで十分だと思います」

 カツレツをひと口大に切り、口の中に放り込む。

 衣がサクッとしていて、肉もジューシーさが損なわれていなくてとてもおいしい。

 かかっているのはトマトソースだけど、中濃ソースで食べてみたい。

 バゲットもおいしく、お昼を食べていないせいでどんどんおなかの中へ入っていく。

「おなかが空いているようだな。お代わりを持ってこさせよう」
「すみません。買い物に忙しくて、お昼を忘れて」

 大食いだと思われるのは心外で、ついお昼を食べなかったことを口にした。

「ランチを取らなかった?」

 瑛斗さんは切れ長の目を少し大きくさせる。

「忙しくて……」
「忙しくても食事はちゃんと取るように」

 まるで先生のような口ぶりで、素直にうなずく私だ。

「はい。そうします。あ、レナさんは? 帰っちゃったんですね。さっきは……」
「さっきは?」
「えーっと……邪魔をしてごめんなさい」

 レナさんは『キスして』と言っていた。いい雰囲気だったに違いない。恋愛に疎い私でもそれくらいはわかる。

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