新妻の条件~独占欲を煽られたCEOの極上プロポーズ~
「邪魔なんてしていないから問題ない」
「で、でも……」

 完全なる邪魔者だったはず。瑛斗さんは私を気遣っているの?

「俺にとっては紅里が戻ってきたのはグッドタイミングだった。レナはあくまでも友人だ」

 グッドタイミング……。瑛斗さんは私を気遣っているわけじゃなかったのね。

「ランジェリーの件も気にする必要はない。見たからといってとくになんとも思わないしな」
「は、はぁ」

 恥ずかしかったのは私だけで、あんなにあたふたしてしまった自分が情けない。

「食べたら、少し出てくる。先に休んでいろよ」
「はい」

 なんの用事なのかと考えるが、瑛斗さんには彼の生活がある。余計な詮索はしてはいけない。

 私は無意識に頭を横にフルフルと振って自分をいさめたのだった。

 翌日は再びレナさんが迎えにきて、早々に出かけると言う。今日は昨日よりも一時間早い十時だ。

「またTシャツとデニムなの? 昨日買ったのに」

 昨日と変わらない私の姿に、レナさんは顔をしかめる。正確に言えば、昨日着ていたものではなくちゃんと洗濯されたものだ。

 レナさんは腕時計へ視線を落とす。

「いいわ、着替えていたら予約時間に間に合わなくなっちゃうから」
「え? 予約ですか? どこへ?」
「そんなのは気にしないでいいの。行くわよ」

 レナさんはマキシ丈のスカートを翻して、つかつかと玄関へ向かう。

 なんだか苛立たしげで、それは私だけのせいではない気がする。瑛斗さんの姿が見えないからだろう。

 瑛斗さんは仕事で、朝食後出かけていた。

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