新妻の条件~独占欲を煽られたCEOの極上プロポーズ~
 レナさんに連れていかれた先はヘアサロンだった。

「そのまとまらない髪をどうにかしましょう」

 彼女に指摘されて、私は愛着のある髪をひと房掴んでみる。

「くせ毛なので……」
「そのままでは素敵なお洋服を着たって、洗練されたようには全然見えないわ」

 あたり前のようにディスってくるレナさんに困惑している間に、彼女は金髪の男性にフランス語でなにかを言った。

 直後に私は奥の個室に連れていかれ、座らされるとすぐに椅子が電動で動き、体がうしろに倒される。

 今まで髪形を変えたいと思ったことはない。変えたとしても似合うとは限らないから不安である。

 洗髪が済むと、椅子がクルリと九十度持ち上がり、髪をタオルで巻かれた自分の姿が正面の鏡に映る。

 そこへレナさんがやって来て、金髪の男性と会話をする。

「紅里さん、私は終わるまで時間をつぶしているから。じゃあね」

 金髪の男性と話し終えたレナさんは、私の返事を待たずに個室から出ていった。

 はぁ……。

 この金髪の男性に任せるしかないようだ。髪形を変えるのは瑛斗さんも承知しているのだと思う。

 今朝仕事へ行くときに『今日も出かけるんだろう? 気をつけて』と言っていたから。

 もう、まな板の鯉の気分でやってもらうしかない。

 あきらめの境地で考えていると、巻かれたタオルがはずされ施術が始まった。


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