新妻の条件~独占欲を煽られたCEOの極上プロポーズ~
「夕食は牧場でバーベキューだ。行こう」
「牧場へっ!? ちょっと待っててください。雪丸におやつを持ってきます!」

 私は一目散に自室へ向かい、サイドテーブルの上に置いていた角砂糖の袋を手にしてボディバッグにしまい、瑛斗さんのもとへ戻った。



 馬房にいた雪丸に角砂糖をあげていると、入口で牧場の男性と話していた瑛斗さんがやって来た。

「少し乗って運動させてほしいと担当者が言っている。そうだな、一時間くらいか」
「いいんですかっ! 行ってきます!」
 
 私は早速雪丸を馬房から出して、鞍をつけ始める。

「遠くへは行くなよ。暗くなったら迷子になる」

 瑛斗さんの忠告を聞きながら、鐙(あぶみ)に足をかけて雪丸に飛び乗った。

「はい! あまり離れないようにします!」

 騎乗すると、いつも見上げるほど高身長の瑛斗さんを見下ろす形になり新鮮だ。

 私は雪丸の向きを変え、瑛斗さんから離れた。

 水を得た魚のように、私は雪丸とのひとときを楽しんだ。この二日間がストレスになっていたみたいだ。

 おじいちゃんはなにを考えているのか。牧場の生活に女らしさなんて必要ないのに。

 瑛斗さんに言われた通り、一時間ほど雪丸との時間を楽しんで戻ってみると、事務所の建物の前でバーベキューの準備がされていた。事務所内には宿泊設備があるという。初日に知っていたら、強引に泊まりたいと言っていただろう。

 瑛斗さんは建物のドア横にあるベンチに座り、獣医師と話をしている。話しながらも、近づく私の姿に気づき、ベンチから腰を上げた。

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