御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
うつむいて沈んだところで、次に恨めしさでいっぱいになった。

池畠和志。あの男、本当に許さない。
やつの手が沙穂ちゃんの髪に触れたのを目にしたとき、頭の血管が切れるかと思った。汚い手で軽々しく触れやがって。

今までもああやって断れない彼女につきまとっていたのか?
くそ、最悪だ。なんで俺は気づかなかったんだ。あの沙穂ちゃんが危害を加えない人間を嫌うはずがない。嫌っているのはそれ相応の理由があると容易に想像できただろ。

解決するにはすぐに社長と美砂に話すべきだ。それは間違いない。沙穂ちゃんがどう考えていたとしても、知ってしまった以上、俺がこれを黙っているのは社長への裏切りだ。

美砂の友人としても見過ごせない。あの男は婚約者として不適格だ。


「……透さん」

考えこんでいたせいで、彼女が部屋から出てそばにきていると気づかなかった。
時計を見ると、もう十一時を過ぎている。

「沙穂ちゃん。落ち着いた?」

「はい」

「座って」

両手をモジモジと組みながらゆっくりと隣に座った沙穂ちゃんは、耳まで赤くなりながらうつむいている。
いい反応か悪い反応なのかは分からないが……とにかく、かわいい。
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