御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
「ごめんね。乱暴なまねをして」

怖がられていないか細心の注意を払いながら、きちんと謝罪をしたくて手に触れる。すると彼女は握り返してくれた。ホッとして優しく包み込む。

しかし、いつまでも黙っている。頬を赤く染めたままなにも話そうとしない。
どうしたんだろう。

「沙穂ちゃん?」

たまらず覗きこむと、口をとがらせて訴えかけるような目をした彼女が、ジッとこちらを見つめ返してきた。
ドッと心臓が騒ぎだし、ゴクリと喉が鳴る。

「……透さん」

好きだ沙穂ちゃん。頼むから別れるなんて言わないでくれーー

「私をずっと好きだったって、どうしてですか? ほとんど接点なんてなかったのに」

とりあえず皮一枚繋がったらしく、ホッと息をついた。
それにしても、沙穂ちゃんに「接点はなかった」と言われると悲しくなる。あの手紙のやりとりは、俺にとっては大切な時間だったんだ。
沙穂ちゃんは違うの?

もうなにも知らないふりは嫌になり、俺は彼女の手をひいて、デスクへ歩いた。
不安げに首をかしげる彼女の前で引き出しから黒のファイルを取り出し、開いてみせる。
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