御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
「いただきます。うん! 美味しい」

遠慮なく食べ始めた葵さんの向かいのソファに座り、さてどうしようと考える。

うすうす、気づいてはいた。手紙に書かれた文章から、透さんはご実家に見切りをつけて自分の力で生きている印象があり、もしかしたらお兄さんとも疎遠にしているのでは、と。

もちろん仲良しの方がいいけど……それは私には口を出す権利はない。

「いいなぁ。透は恋愛して好きな子と結婚できるのか。俺も次男に生まれたかったよ」

クッキーを味わいながら、葵さんはしみじみとしている。
美砂からも同じ話を聞いた。愛してくれる人との結婚がうらやましい、って。

長男・長女の彼らにも、あきらめているものがあるのかもしれない。
私と透さんにもあるように。

「葵さんは、ご結婚は?」

「さあね。誰か探してるのかな。まだなにも知らされてないよ」

自分の結婚相手なのに……。
なんだか気の毒だ。
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