御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
するとさらに離れた玄関から「ガチャン」と音がし、ドタドタと足音が近づいてくる。
透さんが帰ってきたとすぐに分かったが、この状況は停止したままどうにかする時間はなく……。

「沙穂ちゃん!」

リビングの扉が大きく開かれ、血相を変えた透さんが登場した。

「透さん!」

「透!」

葵さんは私の上で弾んだ声を出している。事態の深刻さが分かっていない。
私の予想通り、透さんは眉間にシワを寄せてこちらへ駆け寄ると、手加減なしで葵さんの胸ぐらをつかみあげた。

「ちょっ、と、透っ」

「……俺の沙穂になにしてる」

……さ、〝沙穂〟って。

危機的状況なのに別のドキドキが止まらない。
男の人を腕一本で持ち上げる彼の腕には、スーツの上からでもハッキリわかるほど筋肉が浮き出ている。

「と、透さん、違うんです。葵さんは悪くありません」

私が声をかけてみたがよほど怒っているのか、こちらも同じ目でキッと睨まれる。

「会議が終わってメッセージを見て驚いたよ。沙穂ちゃんにはあとでゆっくり話があるから」

こ、怖い……。けど格好いいなんて、私ったら。
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