御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
しかし葵さんがあまりに苦しそうなので静観しているわけにはいかず、彼を掴んでいる透さんの手にしがみつく。

「透さんっ。私なら大丈夫ですから」

息が止まって喋れない葵さんに代わって許しを乞うと、透さんは怖い顔でしばらく考え、ようやく手を離した。空中でいきなり解放されたせいで葵さんは尻餅をつくが、透さんに睨まれている恐怖でそれどころではないらしい。

「お、落ち着け透。話せば分かる」

「俺の留守に押し掛けて沙穂に襲いかかっていたくせに、落ち着いていられるか」

「違う違う! ちょっと間違っちゃっただけなんだよ」

葵さんたら説明が下手!
ビクビクしながら聞いていたが、これでは埒が明かない。

「ごめんなさい透さん。私が勝手に中へお通ししたんです。お兄さんだから大丈夫だと思って」

まるで大丈夫ではなかったかのような言い方になり、葵さんは「なにもしてないよー」と付け足した。
私もうなずく。

「悪かったよ透。フィアンセが見たくて寄っただけなんだ。話に熱中してつい押し倒してしまったけど、ただの事故だよ」

もう! 葵さん! その説明では火に油です!
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