御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
自分で彼の行動を牽制したくせに、美砂の名前を出されるとチクリと胸が痛む。

「そ、そうですよね。すみません」

ちゃんと考えている、か。そりゃそうだよ。私ったら透さんを誰だと思っているの。業界屈指の凄腕コンサルタントだって雑誌に書いてあったじゃない。

なんでも要領よくこなして必ず結果を出す有言実行の人なんだから。最後は美砂を手に入れるはず。私なんかが口出しするのは本当に余計なお世話。
勝手にドキドキして勘違いして。

「透さん、お茶飲みますか?」

自ら崩してしまった雰囲気を変えるため、私は保冷ポーチに入れていた二百ミリリットルの小さなペットボトルを出した。

「あ、いいの? もらおうかな」

水滴をハンカチで拭き取り、蓋を開けてから手渡すと、透さんはすぐにひと口飲み、ホルダーに差した。

本当は、送迎のお礼にと昨夜作ったジンジャークッキーも持ってきている。しかしそれを出す勇気はなくなった。
張りきってこんなものまで作って、どうかしていた。
お弁当を持ってきたら彼女気取りかなと控えめにクッキーを選んだつもりが、それがそもそも勘違いだと昨夜の自分を叱ってやりたい。
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