こんぺいとうびより
「ここ、北岡さんもよくいらしてるお店ですよね?話聞いてて行ってみたいなと思ってたけど、ラーメン屋さんは一人ではちょっと入りにくくて。だいたいのところは一人で入れるんですけど。あ、外観撮っておこ。」

店の前に着くと璃子は楽しそうにスマホで写真を撮る。

「へ~意外。怖いものとかなさそうなのに。」

「あたしのイメージどうなってるんですか!?強そうなのは外見だけで中身は乙女・・・。」

「どれ食べる?」

「ガクーッ!スルーされたし!おすすめありますか?」

「やっぱり店の名前がついたラーメンかな。」

「じゃ、それにします!」

「わかった。」

一直は店の前の券売機に1000円札を2枚入れると、ラーメンの券を2枚買い、それを持って店の扉に手をかけた。

「ちょっ、ちょっ、ちょっ、待ってください!」

「写真、まだ撮るの?」

「違いますよ!なんで私の分までお金・・・あ、まさか、こないだの、ご飯とかボーリングとかに行こうっていうの・・・それを今日このラーメンでってことですか!?」

───やだ!デートはもっとちゃんと・・・。

「違うよ。それとは別。動画編集手伝ってもらう件、葉吉さんから聞いたでしょ?だから、よろしくお願いしますってことで。仕事増えたところで給料増えるわけじゃないし。こんなんで悪いけど。」

面倒くさそうに答えた一直の前で璃子は膝から崩れ落ちた。

「もおおおお!見た目だけじゃなくて中身もイケメンかよおおお!知ってたけどー!」

「・・・いつまで店の前いる気だよ。俺、腹減ってるんだって。入るよ。」

「待ってっ・・・あっ!」

焦って立ち上がって入り口に向かおうとして転びそうになる。

「!!」

一直がとっさに支える。ヒールを履いた璃子の身長が彼と同じくらいなこともあり、二人の顔はすぐ近くにあった。
< 15 / 189 >

この作品をシェア

pagetop