こんぺいとうびより
「ひょっ!?」

璃子は首の後ろに違和感を感じて目を覚ました。

「何寝てんの?」

「し、新貝さん、今くすぐった!?」

「うん。何?やる気ないなら帰るけど。」

一直は不機嫌を装い言ってみる。

「ご、ごめんなさい!今何時ですか!?」

「・・・ちょうど待ち合わせの10時だけど。」

「今来たんですか?」

「そうだよ。」

───待ち合わせ時間まで寝かせといたのは言わないでおこう・・・寝顔結構かわいくてチラチラ見ちゃってたし。

「ご、ごめんなさい。春の陽射しがうららかで・・・。」

───本当はここ数日、動画の事を改めて勉強したり、今日どんな服装で行けばいいのかネットで調べたり、メイクを色々試してたりしてて寝不足だったんだよね・・・メイクやり過ぎてうっかり舞台メイクみたいな顔でコンビニ行ってぎょっとされちゃったし・・・。

「一応突っ込んどくけど、もう秋だから。あと、よだれの跡すごいよ。」

「え!?うそ!?」

慌ててポシェットを開けて鏡を取り出す。

「・・・ははっ、うそだよ。」

一直の笑顔を見ると璃子は勢いよく立ち上がった。

「あたし、今日やる気に満ちてますから!むしろやる気しかない!全身やる気人間!さ、行きましょ!」

「?」

隣に並ぶ彼女に違和感を覚える。

───あ、今日はヒールじゃないからいつもより背が低いんだ。

彼女の足元はキャンパス地のスニーカーだった。

「さあ!今日は絶叫系乗りまくって、叫び倒してスッキリしちゃいましょー!!」

璃子が気持ちよく晴れた青空に片手を突き上げて言う。

「あ、ああ・・・。」

───そうだった。ヤケ酒につきあってもらったお礼と、叫んで失恋の悲しみを吹き飛ばすために遊園地にしたんだった・・・普通に彼女と遊びに来たわけではなかったんだった。
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