こんぺいとうびより
「・・・これ、家まで持ってくよ。かさばるし、一人だと恥ずかしいでしょ。」

驚いた璃子が思わず目を合わせようとすると、一直はぬいぐるみに目線を移してそう言った。

「でも・・・。」

「もう電車出ちゃったし。」

今度は窓の外に目をやる。

「はい・・・ありがとうございます・・・!」

「・・・。」

───もう少し玉川さんと一緒にいたいと思ってしまった・・・。

とろけそうな笑顔になる璃子を見ながら、一直は自分の心の中に確かに芽生えた気持ちを自覚していた。窓の外では見慣れた景色が遠くなっていた。



璃子の家の最寄り駅で降りると八百屋や弁当屋、ラーメン屋などが並ぶこじんまりとした商店街があった。

「いい感じの商店街だね。」

「なんかホッとするから、すごく好きなんですよ。」

「璃子ちゃん!またハンサムな友達連れて!」

総菜屋の前を通ると店のおばちゃんに声をかけられる。

「璃子ちゃんの大好きなかぼちゃコロッケ、揚げたてだよ。おまけにナゲットもつけるから二人で食べたら?」

「もー!おばちゃんたら相変わらず商売上手なんだから!そんなこと言われたら買うしかないでしょ!」

璃子は財布を取り出しながら楽しそうに言う。

「ははは!こんなちっちゃな店だからねぇ、商売上手じゃないとやってけないよ!」

「そんなこと言って今年もハワイ行ったりしてたよね。ばっちり儲かってるんでしょ~?」

「ははは!まあそれなりにはね~。はい、ちょうどね。ありがとうございました~。」
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