こんぺいとうびより
「ピンポーン。」

しんと静まり返った部屋にインターホンの音が響き、璃子が慌てて手を引っ込めたので、一直の手は宙ぶらりんになった。

「あ・・・宅配便だと思います。実家から梨送るって言ってたから。」

立ち上がり応じようとすると一直も立ち上がり素早く璃子の前に回る。

「俺が出るよ。こういうのは男が出た方がいいから。変な勧誘とかもっと変なのの可能性もあるし。」

「・・・・・あ、ありがとうございます。」

さっき跳ねたばかりの心臓が今度はキュンと音を立てた。そちらに気をとられ声が出るのが一瞬遅れてしまったのだった。



「ちょうどよかった。梨持ってってくださいね。月曜日会社にも持ってこ。」

璃子は段ボールの中に手を入れ梨を1つ1つ取り出しては、どれが美味しそうかな、と吟味する。

「・・・俺、そろそろ帰るね。」

───あんまり一緒にいたらなんか・・・勢いで変なことになっちゃいそう。それだと彼女にも失礼だ。失恋してすぐ、近くにいてくれる彼女に乗り換えるみたいで・・・もっとちゃんと自分の気持ちを整理してから・・・。

「はい。今梨袋に入れますね。」

───もう帰っちゃうんだ・・・。

今度は心臓が切なさで少し縮んだように感じた。
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