こんぺいとうびより
2階の部屋について電気をつけるとすぐベランダに向かう。

外を見ると一直は璃子が出てくるのを待っていたかのように、こちらを見つめていた。

目が合い、同時に微笑む。

璃子が小さく手を振ると彼の口がわずかに動いた。

「あんまり、かわいい顔するなよ・・・。」

───犬が『くーん』って言ってるみたいなんだけど・・・戻って抱きしめたくなっちゃうし・・・。

「え?何ですか?」

「何でもない。部屋入りなよ。ハウス!」

「だから、犬じゃないって!」

「じゃあね。」

手を振って踵を返す。

璃子は呼び止めたい気持ちを必死で抑え、彼の後ろ姿が見えなくなるまで見送った。

一直は彼女の視線を背中に感じながら振り返りたい思いを抑えて自分の足元を見ながら俯いて歩いた。

曲がり角を曲がって璃子からは見えないであろう場所まで来て振り返る。

───彩木さんのこと、本気で好きだったのに・・・今はこんなにも彼女が気になってしまっている・・・やっぱり俺ってチャラいのかな・・・。
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