こんぺいとうびより
「寝ててください。飲み物持ってきますよ。何がいいですか?」

「み、水・・・ていうか、金、居酒屋の、俺、払った?」

「ああ、いいですよ。あたしの方が飲み食いしましたから。安かったし。」

「そういうわけにいかないでしょ。俺が付き合わせたのに・・・。」

「じゃあ、ここ払ってもらったらそれで。」

「や、ここも俺が出すの当たり前だし、ここまで連れてきてもらったりとか、玉川さんまで帰れなくなって・・・。」

「今日土曜だし大丈夫ですよ。それに、どこまででも付き合うって言ったでしょ。お水持ってきますね。」

璃子が出ていくと改めて部屋を見渡す。

───ここ、カップルシートだよな・・・こんなところで一緒に寝たっていうのに、何も感じないとか、すごい 申し訳ない・・・もし、彩木さんとだったらきっと・・・うわ、また未練ったらしく彼女の事考えて・・・引くわ・・・こんな事初めてだ。

「あー、自分が嫌になる・・・。」

そうつぶやいた時ガチャッと扉が開き、璃子が紙コップを差し出してくれる。

「お水です。おしぼりはそこに。」

「何から何までごめん。改めて飯おごるから。SNS映えしそうなとこ。」

「本当ですか!?やった!!」

「それかご飯もいいけど・・・その・・・玉川さんさえよければ、もっと気持ち良くなることでも・・・。」

一直のその言葉とじっと見つめてくる熱がこもったような目に、璃子の心臓はトビウオのように跳び跳ねた。
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