キミと、光の彼方へ。
「お姉ちゃんお帰り~」

「ただいま」

「お姉ちゃん今日もバイトだよね?」

「うん」

「お父さん帰ってくるのは7時だよね?」

「だから、それまでは家から出ちゃダメだよ。分かった?」

「分かってるよ!さゆ、お利口さんだもん!」


確かにそうだ。

砂汐奈は私より美人で、成績も良くて運動も出来るし、性格も良い、自慢の妹だったんだ。

心配するなら、妹じゃなくて、自分かもしれない。

自分の気持ちが全く見えていないで、毎日流されて生きている私の方がよっぽど心配の対象になりうる。

最近、瀬代さんも、私の進路について心配しているのか、さりげなくテストのことを聞いてきては大学時代のことを話す。

でも、それをふんふんと聞くのは砂汐奈の方で、お母さんを治すためにお医者さんになりたいと言って瀬代さんを喜ばせている。

それに対して私は、相槌をテキトーに打ってその場をやり過ごす。

2人の会話が盛り上がって来た頃に席を立って手早く洗い物を済ませると、自分の部屋に戻る。

受験生だからと、母の部屋を一時的に貸してもらって私の部屋にしたのだが、母に申し訳なくてあまり悠々とは使えていない。

それでも逃げ場があるのは、すごくありがたいことで、そのありがたいことに私は甘えていた。

自分と向き合いたくないその一心で、私は日々を生きている。

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