キミと、光の彼方へ。
「桑嶋」

「何?」

「これ、桑嶋のだろ?」


私は彼が差し出して来た右手の上に乗ったものを凝視した。

それはまさしく、私が探していたものだった。


「これ、どこに?」

「桑嶋と俺が線香花火をしてたとこ。桑嶋が砂ぐっちゃぐちゃにしてくれちゃったお陰で見逃すところだったわ。ひとまず返す。ほれ、回れ右。つけてやる」


強引だなぁと思いながらも、私は大人しく彼に背中を見せた。

私の瞳には水平線から顔を出し始めている太陽とそれを映し出す広大な真っ青のキャンパスが映し出された。

見とれていると、首に冷たい感触が戻ってきた。


「よし、オッケー。前に直れ」

「意味不明。なんで私が命令されなきゃならないの?」


渋々前を向き直り、顔を上げるとばっちりと目があった。

私がさっと反らすと、彼は私の両肩を掴んできた。


「目、反らすなよ」

「いや、だって......」

「今日こそは答えてもらう。なんで俺の名前呼ばなかったんだ?理由、あんだろ?」


これはもう、逃げられない。

周りは海の包囲網だし、この駿足かつ泳げる男が相手じゃ、敵わない。

私は覚悟を決めて話し出した。


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