キミと、光の彼方へ。
「人魚姫の伝説のラストとされている話にも続きがあったらしいぜ。残された夫がマーメイドロードとは逆方向の海岸に来て、海に悲しみの涙を1滴落としたら、そこから水の精が生まれて空に登っていき、水の精が恵みの雨を降らせたそうだ。そこで土壌は肥え、この島の特産品が育てられるようになったんだってさ。その水の精は人魚姫の生まれ変わりとする説が多くて残された夫に希望を与えたことから、ウィッシュロードとなったそうだ。はい、めでたしめでたし」

「よくご存知で」

「まぁな。この島に来る前に、この島のこと、めっちゃ調べたんだよなぁ。ガキん時に1回来て、まぁそん時は散々な目にあったんだけどな」

「散々な目って何?」

「簡潔に言うと、溺れた女の子を助けたんだよ。自分で言うのもナンだけど、あん時の俺、多分人生で1番カッコ良かったわ。うわぁ、戻りてぇ」


ちょっと待って。

今、溺れた女の子を助けたってこの人言ったよね?

しかも、この前海里が、同級生くらいの男の子が私のことを助けてくれたって......。

まさか......

いや、そのまさか、かもしれない。


「おい、珠汐奈。どうした?」

「いや、どうもしてない。それより、早く帰んなきゃ。私、絶対色んな人に心配させちゃってるから。砂良のところに電話いってたら100パー探しに来てる」

「あぁ、目に見える」

「だから、行こう」


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