キミと、光の彼方へ。
「帆栄、いいよ」

「おぅ」


帆栄は墓前で手を合わせると、5分くらいじっと目を閉じて父に語りかけていた。

会ったことのない人に何をそんなに話すことがあるのか分からないけど、とにかく必死に伝えようとしていることだけは確かだった。

片付けの時に何を話したのか聞いたけど、「あぁ、まぁ、ぼちぼち」となぜかはぐらかされた。

そして、あまり話もしないまま、いつもの道に入ってきてどちらからともなく左折し、浜へとやって来た。


「今日すごく天気がいいから、海キラキラしてる」

「んまぁ、そうだな」


何だか様子がおかしい。

これは探る必要がありそうだ。


「ねぇ、何か言いたいことあるの?さっきからおかしいよ」

「おかしくなんかねぇ。普通だ」

「いや、絶対変だよ。何かあった?」


そう私が聞くと、帆栄は立ち止まった。

そして、呟く。


「美海と別れた」

「えっ?」


振り返り、しょげているのか、俯いたまま話し出した。


「フってやったと言いたいところだが、完全にフラれた」

「ふふっ」

「笑うな!失恋したらどんな気持ちか、お前1番よく分かってんだろ?!」

「ごめん。でも、つい...」


そう聞いてちょっとほっとしてしまった自分がいる。

そしたら、自然と笑顔が溢れてきてしまったんだ。

まぁ少し、バカにしちゃったかもしれないけど...。


「あの日、本当は俺から切り出そうと思ってた。けど、美海に先を行かれた。よく考えたら、わたし、海里先輩が好きだって気づいたんです!だから、ごめんなさいって」

「はぁ...。それはそれは災難で...」


その災難の後、追い討ちをかけるように雨が降ってきて、そして、私が遭難。

すごく申し訳ないことをしてしまった。

いや、でも待って。

さっき帆栄は自分から切り出そうと思ってたって......。


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