冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
立場上、仕事だって忙しいはずなのに彼は日々スマートに家事をこなし、料理を作り置きして冷蔵庫に詰める。

ぴしりと整理整頓された琺瑯製の保存容器には、調理した日付と料理名が書かれたシールが貼られており、さらには温め方もしっかり書かれていた。
しかも中身はさながら高級レストランか高級料亭ですか? というクオリティーの上、栄養満点なのだから凄い。

だが、家事というものが超がつくほど大変で難しいものなのは、たった一日だけの一人暮らし生活で十分身に沁みている。

なので、家事を半分こにしましょうと提案したのだが、即座に問題ないと返答されてしまった。

『冷えは万病のもとだ。冷たいものは命を吸い取ると昔から言われて育ったし、君に家事をさせるつもりは――』

『もう! 政略結婚といえど家族になったんですから、協力です! 半分こが、お互いを幸せにできる魔法ですよ』

『そこで、それを言うのか。君には敵わないな。……わかった。料理と風呂掃除以外なら』
< 134 / 162 >

この作品をシェア

pagetop