冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
へにゃりとにやけそうになる口角を隠すように両手を頬に当てて、俯く。

すると、隣から唐突に抱き寄せられた。「きゃっ」と驚いた声を出すのと同時にバランスを崩し、床から爪先が浮いた状態で宗鷹さんの厚い胸板に凭れこむ。

そのまま膝の上に向かい合わせになるように抱き上げられてしまい、あまりの至近距離に頬が朱に染まるのを感じた。

「今日からは遠慮しないと言っただろう? 可愛い君を堪能させてくれ」

私の腰に回された腕が、ぎゅっと強くなる。太ももの内側が彼の下腹部に当たるような体勢に、居ても立っても居られないような羞恥心でいっぱいになった。

「……でも、あの、この体勢は恥ずかしいです」

「ああ。君の羞恥に悶える顔が見たくてやってる」

そう言って、彼はゆっくりと緩慢な動きで顔を寄せ、私の唇にちゅっとキスを落とす。
その唇の動きがあまりにも甘やかすぎるせいで、ときめきや切なさがきゅーっと喉にせり上がってきて苦しい。

「つまり意地悪ですか?」
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