冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
宗鷹さんが『結婚指輪を選びたい。いくつか岩国さんのお勧めを見繕って、持ってきてもらえないか』と頼み、岩国さんの審美眼をもって選び抜かれた珠玉の指輪たちである。

どれもため息が出るほど綺麗だったが、私はその中でも一番シンプルで普段使いしやすそうなプラチナの指輪を選んだ。

どれもお値段が表示されていないので、一体いくらなのかは想像もつかない。
これも一番シンプルではあるが、女性用の方にはダイヤモンドが美しく配置されているため、相当な額するに違いなかった。

「サイズ感もお確かめくださいね」

岩国さんの指示で宗鷹さんと色々と確かめたあと、結婚指輪をリングケースに戻す。
岩国さんは手袋を付けた手でそれを梱包し、テーブルに置いた。

「それから……こちらは、私からのささやかなプレゼントなのですが」

そう言って、アタッシュケースの中から彼が箱を取り出す。箱の中身は上品な木製の写真立て、それから――。
隣に座っていた宗鷹さんが息を呑む。
< 149 / 162 >

この作品をシェア

pagetop