冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
濃紺の三つ揃えスーツを纏っているので、仕事帰りなのだろう。
どうして彼が湊征の家の隣に住んでいるの?
というか……もしかしなくても、政略結婚の相手が、隣に住んでるってことだよね。そんな偶然って、ある!?
まったく見知らぬ人ではなく、顔見知りが隣人だった事実に安堵すると同時に、不可思議すぎる偶然に疑問符が頭の上を飛び交った。
その瞬間。
なぜだか、ふっと緊張の糸が切れたかのごとく、体中の感覚がなくなった。
えっ? と思った時には、足が縺れて、足元から崩れ落ちそうになる。
「あ……っ」
驚きで小さく声をあげた途端、宗鷹さんの逞しい腕がこちらへ向かって伸ばされる。そのまま力強く抱き寄せられ、私はどさりと彼の胸に倒れこんでしまった。
鍛えているのか衝撃にびくともしなかった彼は、クールな面差しを崩し微かに眉を寄せて、私の顔を覗き込む。
「おい、大丈夫か」
「だ、大丈夫です……。あの、私の家が停電、して、しまって……っ」
激しい鼓動のせいで、上手く喋れない。なんだか目眩までしてきた。
はあ、っと苦しい胸から息を吐き出しながら、玄関チャイムを押した理由を伝えると、「停電?」と彼が首を捻る。
「とにかく、ここではどうしようもないな。悪いが、いったん運ばせてもらうぞ」
宗鷹さんはそう言うと、私が立ち上がれるような状態じゃないと判断したのか、そのまま私の膝裏に腕を回してから、勢いよく抱き上げた。
どうして彼が湊征の家の隣に住んでいるの?
というか……もしかしなくても、政略結婚の相手が、隣に住んでるってことだよね。そんな偶然って、ある!?
まったく見知らぬ人ではなく、顔見知りが隣人だった事実に安堵すると同時に、不可思議すぎる偶然に疑問符が頭の上を飛び交った。
その瞬間。
なぜだか、ふっと緊張の糸が切れたかのごとく、体中の感覚がなくなった。
えっ? と思った時には、足が縺れて、足元から崩れ落ちそうになる。
「あ……っ」
驚きで小さく声をあげた途端、宗鷹さんの逞しい腕がこちらへ向かって伸ばされる。そのまま力強く抱き寄せられ、私はどさりと彼の胸に倒れこんでしまった。
鍛えているのか衝撃にびくともしなかった彼は、クールな面差しを崩し微かに眉を寄せて、私の顔を覗き込む。
「おい、大丈夫か」
「だ、大丈夫です……。あの、私の家が停電、して、しまって……っ」
激しい鼓動のせいで、上手く喋れない。なんだか目眩までしてきた。
はあ、っと苦しい胸から息を吐き出しながら、玄関チャイムを押した理由を伝えると、「停電?」と彼が首を捻る。
「とにかく、ここではどうしようもないな。悪いが、いったん運ばせてもらうぞ」
宗鷹さんはそう言うと、私が立ち上がれるような状態じゃないと判断したのか、そのまま私の膝裏に腕を回してから、勢いよく抱き上げた。