冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
宗鷹さんはあれからすぐにコンシェルジュへ連絡し、わざわざ医師を呼んでくれていた。

その間、停電についてもコンシェルジュが確認してくれたそうだ。
分電盤のアンペアブレーカーと漏電遮断機が落ちていたので、漏電していないか点検後に復旧作業をし、今は正常に電気が点くようになっているとか。

や、やっぱり、私が自分で停電させていたんだ……。
それなのにパニックになって、仕事から帰宅したばかりのところに押しかけて、挙げ句の果てには倒れてしまうなんて。

「ごめんなさい。本当に、大変ご迷惑をお掛けしてしまいました」

迷惑も甚だしい行為に大変申し訳なくなり、私はがばりと頭を下げる。
宗鷹さんは迷惑を掛けられたというのに疲れた顔ひとつせず、「いや。体調に問題がなければそれでいい」と、素っ気ない態度で首を横に振った。

うううっ。恥ずかしすぎて、穴があったら入りたい気分だ。

「今回は急な停電が引き金になったらしいが……。もしかしたら、ずっと溜まっていた心身の疲労が表面化して、一気に悪さをした可能性もあるらしい。心当たりはあるか?」

医師に代わって詳細を説明してくれる宗鷹さんから、窺うような視線を向けられる。

「心当たりがなければ、病院に行って一度精密検査を受けた方がいい」

こんな状況下でも冷静さを失わない彼の視線には、少しだけ心配の色が滲んでいた。
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