冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
凍てつく雪夜の寒さのように厳しく、冷徹な表情で睨みつけている書類には、【櫻衣商事連結子会社化事業計画書】の文字が見て取れた。
彼の手中に、着実に動き出し変化していく現実を確かに感じて、私は静かに息を呑む。
今宵、櫻衣商事の運命は大きく変わった。祖父が望み、父が望み、そして私が望んだ通りに。
……すべてが丸く、幸せに収まって、本当に良かった。
私が与えられた役割をまっとうするだけで、他の誰をも不幸にしない、最善の結果を得られたのだ。
そう考えた時、不意に心の奥底に影がさす。
――それなら、宗鷹さんは? 宗鷹さんはこの結婚を、どう思っているのだろう?
私が唐突な結婚に難色を示して幸せな結婚を望んでいたのと同じように、彼だって幸せな結婚を望んでいたはずだ。
今の今まで自分自身のことにいっぱいいっぱいで、完全に失念していた。
宗鷹さんはこれで良かったの?
祖父と古くから親交があったからと、政略結婚をして、傾いている会社まで買収して……。
一体、彼の幸せはどこに――。
「……澪?」
前方から呼びかけられ、ハッとする。
彼を見つめたまま、いつの間にか考え事に没頭していたみたいだ。
彼の手中に、着実に動き出し変化していく現実を確かに感じて、私は静かに息を呑む。
今宵、櫻衣商事の運命は大きく変わった。祖父が望み、父が望み、そして私が望んだ通りに。
……すべてが丸く、幸せに収まって、本当に良かった。
私が与えられた役割をまっとうするだけで、他の誰をも不幸にしない、最善の結果を得られたのだ。
そう考えた時、不意に心の奥底に影がさす。
――それなら、宗鷹さんは? 宗鷹さんはこの結婚を、どう思っているのだろう?
私が唐突な結婚に難色を示して幸せな結婚を望んでいたのと同じように、彼だって幸せな結婚を望んでいたはずだ。
今の今まで自分自身のことにいっぱいいっぱいで、完全に失念していた。
宗鷹さんはこれで良かったの?
祖父と古くから親交があったからと、政略結婚をして、傾いている会社まで買収して……。
一体、彼の幸せはどこに――。
「……澪?」
前方から呼びかけられ、ハッとする。
彼を見つめたまま、いつの間にか考え事に没頭していたみたいだ。