クールな騎士はウブな愛妻に甘い初夜を所望する
「それは、殿下が言うように、陛下があなたをとても大切な国の花だと思うからこそ、第一に大切にされているのでしょう。ただ、それが、殿下にとっては、このままでいいのかと、ご自身のお立場と責務を考えるから、もどかしいのですね」
「そう、そうなの。それと……私に結婚の話が出ているのは知っている?」
「……はい。存じております」
繊細な問題だからか、ランベールの表情が少し強張った。
「それも、しっくりこないの。政略結婚というのに、こちら側が婿を迎え入れるのではなく、私がどこかの国に輿入れするっていうのよ。西のヴァレリー王国以外の国から申し出があったと聞いているわ。それぞれ第二王子や第三王子らしいわ。一方、陛下は妃を娶る予定はないそうなの。そんな状態で私が輿入れしたら、このまま王族が絶えることになるけれど、そうしたら、グランディアス王国はいったいどうなるのかしら……」
王位継承者が不在になれば、王宮内の大臣以下、他の有力な貴族たちが候補になるだろう。国王はその方向で考えているのだろうか。そうだとしたら、それがどんな未来を迎えることになるのかも、レティシアには不安だった。
先代のフリードリヒ二世が平和な時代を築いたのは王としての器があったからだ。指導者が変わったことで王政が破綻し、動乱の世の中になることもありえる。
戦争がはじまってしまうかもしれない。レティシアなりに心配し、そんな恐れを抱くこともあった。
レティシアの不安そうな顔をじっと見て、ランベールは閉ざしていた唇をゆっくりと開いた。
「殿下のご心配はごもっともです。ですが、陛下には特別な思し召しがあるのではないですか。諸外国と良好な関係を築くために、あえてこちらから大事な王女殿下を差し出すのが必要なことである、と。歩み寄りの一歩である、と。それこそが政略結婚であるとお考えなのかもしれません」
ランベールの言うことは理解できるけれど、やっぱり国王の考えには納得がいかない。
それに、正直にいえば、レティシアは他国に輿入れすることになり、ランベールと離れるのがいやだった。
胸の痛みを押し隠しながら、レティシアはランベールを見つめた。
「私がこのお城からいなくなったら、あなたは寂しいと思ってくれる?」
「……ええ。それはもちろんですよ。もう二年以上……仕えさせていただいていますし」
「そう、そうなの。それと……私に結婚の話が出ているのは知っている?」
「……はい。存じております」
繊細な問題だからか、ランベールの表情が少し強張った。
「それも、しっくりこないの。政略結婚というのに、こちら側が婿を迎え入れるのではなく、私がどこかの国に輿入れするっていうのよ。西のヴァレリー王国以外の国から申し出があったと聞いているわ。それぞれ第二王子や第三王子らしいわ。一方、陛下は妃を娶る予定はないそうなの。そんな状態で私が輿入れしたら、このまま王族が絶えることになるけれど、そうしたら、グランディアス王国はいったいどうなるのかしら……」
王位継承者が不在になれば、王宮内の大臣以下、他の有力な貴族たちが候補になるだろう。国王はその方向で考えているのだろうか。そうだとしたら、それがどんな未来を迎えることになるのかも、レティシアには不安だった。
先代のフリードリヒ二世が平和な時代を築いたのは王としての器があったからだ。指導者が変わったことで王政が破綻し、動乱の世の中になることもありえる。
戦争がはじまってしまうかもしれない。レティシアなりに心配し、そんな恐れを抱くこともあった。
レティシアの不安そうな顔をじっと見て、ランベールは閉ざしていた唇をゆっくりと開いた。
「殿下のご心配はごもっともです。ですが、陛下には特別な思し召しがあるのではないですか。諸外国と良好な関係を築くために、あえてこちらから大事な王女殿下を差し出すのが必要なことである、と。歩み寄りの一歩である、と。それこそが政略結婚であるとお考えなのかもしれません」
ランベールの言うことは理解できるけれど、やっぱり国王の考えには納得がいかない。
それに、正直にいえば、レティシアは他国に輿入れすることになり、ランベールと離れるのがいやだった。
胸の痛みを押し隠しながら、レティシアはランベールを見つめた。
「私がこのお城からいなくなったら、あなたは寂しいと思ってくれる?」
「……ええ。それはもちろんですよ。もう二年以上……仕えさせていただいていますし」