クールな騎士はウブな愛妻に甘い初夜を所望する
「はい。そのとおりです。陛下が誰より信頼しているのは、ランベール様なのですから、宰相閣下に話を通してもらえば、その程度のこと、問題はないかと思うのです。いかがでしょうか?」
ランベールと踊れる……模擬的なものだけれど、彼と一緒に舞踏会の雰囲気を味わえる。
想像するだけでドキドキした。一瞬、ぱっと顔色が明るくなったレティシアだが、すぐに表情を沈ませてしまう。
「私がよくても、これ以上束縛するのは、ランベールが迷惑するかもしれないわ。だから、彼が、嫌じゃないなら……」
胸に熱いものがこみ上げるのを感じる一方、さっきの光景がちらついて、レティシアはどうしても消極的になってしまう。
できるだけ、彼には嫌われたくない。せめて、任務だとしても大切に思われていたいから、無理なことを言いたくはない。
「大丈夫ですよ。嫌なわけがありますか。あんなにレティシア様を大事にされているのに」
クロエはレティシアの代わりに胸を張る。
「で、でも……」
「ちょうど今あちらにいらっしゃいますし、聞いてみましょうか?」
クロエがそんなことを言い出すので、レティシアは思いっきり焦った。
「待って。い、今はいいの。邪魔をしたらいけないもの」
「邪魔なんてことありませんよ」
「いいから、クロエ、戻りましょう」
レティシアはとにかく一刻も早くその場から離れたかった。早く部屋に、とクロエの手を引っ張って催促する。
「ですが、ランベール様、こちらに向かわれているようですよ」
「え?」
レティシアの方に、ランベールがやってくる。メイドの姿はもうなかった。
よく見ると、彼は一冊の本を腕に抱えているようだ。行く宛をさまよっているうちに、彼はレティシアたちの前で歩みを止めた。
「殿下、お休みになられるところ申し訳ありません」
「ど、どうしたの? 今夜は特別な警護でもあるのかしら?」
レティシアは極力平静を装いながら、ランベールに真意を問うた。
「いえ。そろそろ花も萎れてしまう頃でしょうから、こちらを」
そう言い、ランベールは腕に抱えていた本を差し出した。
レティシアは彼の意図がつかめず、首をかしげる。
ランベールと踊れる……模擬的なものだけれど、彼と一緒に舞踏会の雰囲気を味わえる。
想像するだけでドキドキした。一瞬、ぱっと顔色が明るくなったレティシアだが、すぐに表情を沈ませてしまう。
「私がよくても、これ以上束縛するのは、ランベールが迷惑するかもしれないわ。だから、彼が、嫌じゃないなら……」
胸に熱いものがこみ上げるのを感じる一方、さっきの光景がちらついて、レティシアはどうしても消極的になってしまう。
できるだけ、彼には嫌われたくない。せめて、任務だとしても大切に思われていたいから、無理なことを言いたくはない。
「大丈夫ですよ。嫌なわけがありますか。あんなにレティシア様を大事にされているのに」
クロエはレティシアの代わりに胸を張る。
「で、でも……」
「ちょうど今あちらにいらっしゃいますし、聞いてみましょうか?」
クロエがそんなことを言い出すので、レティシアは思いっきり焦った。
「待って。い、今はいいの。邪魔をしたらいけないもの」
「邪魔なんてことありませんよ」
「いいから、クロエ、戻りましょう」
レティシアはとにかく一刻も早くその場から離れたかった。早く部屋に、とクロエの手を引っ張って催促する。
「ですが、ランベール様、こちらに向かわれているようですよ」
「え?」
レティシアの方に、ランベールがやってくる。メイドの姿はもうなかった。
よく見ると、彼は一冊の本を腕に抱えているようだ。行く宛をさまよっているうちに、彼はレティシアたちの前で歩みを止めた。
「殿下、お休みになられるところ申し訳ありません」
「ど、どうしたの? 今夜は特別な警護でもあるのかしら?」
レティシアは極力平静を装いながら、ランベールに真意を問うた。
「いえ。そろそろ花も萎れてしまう頃でしょうから、こちらを」
そう言い、ランベールは腕に抱えていた本を差し出した。
レティシアは彼の意図がつかめず、首をかしげる。