クールな騎士はウブな愛妻に甘い初夜を所望する
コルセットのせいではない。いつも騎士として側にいた彼が、ただ貴族の男性の一人として向き合ってくれる。ただそれを想像しただけで、卒倒するほどドキドキしているのだ。彼も舞踏会用に正装をしているはずだけれど、どんなに素敵なことだろう。
「レティシア様、今日はレッスンですので、先生もいらっしゃいますからね。くれぐれもランベール様に夢中になって、盛大に転んでしまわないように、お気をつけくださいね」
そう言いながら、クロエがレティシアの耳にイヤリングをつけてくれる。それとおそろいのネックレスを首に通してくれた。レティシアの瞳の色に似たエメラルド色の宝石が象られたものだ。
「もう。わかってるわ。いじわるいわないで」
クロエは緊張を和らげるために言ってくれたのだろう。レティシアもそれはわかっている。
「とってもおきれいですよ。きっと、ランベール様も喜んでくださるでしょう」
「そう、かしら?」
「ええ。とびっきりの美人ですよ」
クロエが話をしてくれるから、ちょっとだけ落ち着いてきた。鏡の前で仕上がった自分を見ながら、レティシアはもう一度、残りの緊張をゆっくりとほぐすように、深呼吸をする。
それからレティシアはいよいよ、ランベールが待っている広間へと向かった。
再びどきどきと駆け上がってくる鼓動を感じながら、レティシアは勇気を出してドアを開いた。
実際に誕生祭に舞踏会が行われる大広間よりは一回りほど狭い広間ではあるが、ここでもお茶会や宴を開くことがあるし、ダンス用のボールルームに変わりはない。
レッスンを見てくれる先生の姿を探し、まずは挨拶をしなくてはと思ったレティシアだったが、入ってすぐの柱時計の影にランベールの姿が見えると、すぐにもそちらに目を奪われてしまい、そこから目を離せなくなった。
黒と赤、白と青、彼の印象は常に騎士の軍服だった。けれど、今日は今までに見たことのない紳士の彼がいた。
彼は明るめの銀灰色のフロックコートに身を包んでいた。胸元には白いハンカチーフと黄色い花が差し込まれている。彼はこちらに歩いてくる。あともう少しで表情がはっきりと見えるくらいの距離に近づいてくる。
(ランベール……あなたも、ひょっとして…… あの物語をイメージしたのかしら)
想いが通じ合えたような気持ちになり、レティシアはよりいっそう舞い上がった。
「レティシア様、今日はレッスンですので、先生もいらっしゃいますからね。くれぐれもランベール様に夢中になって、盛大に転んでしまわないように、お気をつけくださいね」
そう言いながら、クロエがレティシアの耳にイヤリングをつけてくれる。それとおそろいのネックレスを首に通してくれた。レティシアの瞳の色に似たエメラルド色の宝石が象られたものだ。
「もう。わかってるわ。いじわるいわないで」
クロエは緊張を和らげるために言ってくれたのだろう。レティシアもそれはわかっている。
「とってもおきれいですよ。きっと、ランベール様も喜んでくださるでしょう」
「そう、かしら?」
「ええ。とびっきりの美人ですよ」
クロエが話をしてくれるから、ちょっとだけ落ち着いてきた。鏡の前で仕上がった自分を見ながら、レティシアはもう一度、残りの緊張をゆっくりとほぐすように、深呼吸をする。
それからレティシアはいよいよ、ランベールが待っている広間へと向かった。
再びどきどきと駆け上がってくる鼓動を感じながら、レティシアは勇気を出してドアを開いた。
実際に誕生祭に舞踏会が行われる大広間よりは一回りほど狭い広間ではあるが、ここでもお茶会や宴を開くことがあるし、ダンス用のボールルームに変わりはない。
レッスンを見てくれる先生の姿を探し、まずは挨拶をしなくてはと思ったレティシアだったが、入ってすぐの柱時計の影にランベールの姿が見えると、すぐにもそちらに目を奪われてしまい、そこから目を離せなくなった。
黒と赤、白と青、彼の印象は常に騎士の軍服だった。けれど、今日は今までに見たことのない紳士の彼がいた。
彼は明るめの銀灰色のフロックコートに身を包んでいた。胸元には白いハンカチーフと黄色い花が差し込まれている。彼はこちらに歩いてくる。あともう少しで表情がはっきりと見えるくらいの距離に近づいてくる。
(ランベール……あなたも、ひょっとして…… あの物語をイメージしたのかしら)
想いが通じ合えたような気持ちになり、レティシアはよりいっそう舞い上がった。