クールな騎士はウブな愛妻に甘い初夜を所望する
「私にとっての太陽は、あなたなの。ランベール……」
どうか真剣な気持ちが伝わってほしい。この手を離してほしくない。ずっと一緒にいたい。これから先もずっと……。どんな形でもいい。繋がっていたくて、必死に訴えた。
けれど、複雑な顔をして、ランベールは言った。
「あなたは王女殿下です。私は、あなたの護衛を任された一人の騎士でしかありません。殿下は、懸想される相手を間違えていますよ」
ランベールのその規律を重んじた言葉に、レティシアは深く傷ついていた。
彼が悪いわけではない。身分を思えばあたりまえのことだ。彼はただ諌めてくれただけなのだ。わがままなのは自分だと、レティシアだってわかっている。
そもそも拒まれる覚悟の上で伝えたのだ。でも、少しでいいから、彼にも好ましく思われていたら……という希望がなかったわけではない。その希望は見事に散ってしまった。結局、ひとりよがりでしかなかった。
これが、失恋の痛みなのだと、レティシアは思った。想像していたよりずっと苦しくてたまらない。息ができなくなりそうだった。呼吸の仕方を忘れてしまったように、混乱している。どうしたらこの痛みを忘れられるのか、皆目見当もつかない。
「ごめん、なさい……言うべきではないことくらいはわかるの。でも、抑えられなくなってしまったのよ。どうか、許して、ランベール」
涙がこぼれそうになり、レティシアは言葉をつまらせながら、慌てて目尻を拭った。
恋が実らないことは知っている。せめて、大好きな彼をこれ以上困らせないようにしたかった。
「あなたは、それほどまでに……」
独り言のようにランベールは呟く。
「……ランベール?」
ぽろりと頬を流れる涙を、ランベールは拭ってくれる。
「すみません。今だけ本音を言わせてください。レティシア様のお気持ちは嬉しいです。けれど、俺にはどうにもできない。どうにもならないのに。俺を好きになっても、あなたは傷つくでしょう。そんなことは、俺は……望んでいなかったのに」
いつもの彼とは違った、粗野な言葉遣いと振り絞るような声を聞き、ランベールが初めて素顔と本心を見せてくれたのだと、レティシアは悟った。
「それでも、私は本当にあなたのことが、好きで……知ってほしかった。傷ついたって、どうしたっていいって思ってしまったの」
どうか真剣な気持ちが伝わってほしい。この手を離してほしくない。ずっと一緒にいたい。これから先もずっと……。どんな形でもいい。繋がっていたくて、必死に訴えた。
けれど、複雑な顔をして、ランベールは言った。
「あなたは王女殿下です。私は、あなたの護衛を任された一人の騎士でしかありません。殿下は、懸想される相手を間違えていますよ」
ランベールのその規律を重んじた言葉に、レティシアは深く傷ついていた。
彼が悪いわけではない。身分を思えばあたりまえのことだ。彼はただ諌めてくれただけなのだ。わがままなのは自分だと、レティシアだってわかっている。
そもそも拒まれる覚悟の上で伝えたのだ。でも、少しでいいから、彼にも好ましく思われていたら……という希望がなかったわけではない。その希望は見事に散ってしまった。結局、ひとりよがりでしかなかった。
これが、失恋の痛みなのだと、レティシアは思った。想像していたよりずっと苦しくてたまらない。息ができなくなりそうだった。呼吸の仕方を忘れてしまったように、混乱している。どうしたらこの痛みを忘れられるのか、皆目見当もつかない。
「ごめん、なさい……言うべきではないことくらいはわかるの。でも、抑えられなくなってしまったのよ。どうか、許して、ランベール」
涙がこぼれそうになり、レティシアは言葉をつまらせながら、慌てて目尻を拭った。
恋が実らないことは知っている。せめて、大好きな彼をこれ以上困らせないようにしたかった。
「あなたは、それほどまでに……」
独り言のようにランベールは呟く。
「……ランベール?」
ぽろりと頬を流れる涙を、ランベールは拭ってくれる。
「すみません。今だけ本音を言わせてください。レティシア様のお気持ちは嬉しいです。けれど、俺にはどうにもできない。どうにもならないのに。俺を好きになっても、あなたは傷つくでしょう。そんなことは、俺は……望んでいなかったのに」
いつもの彼とは違った、粗野な言葉遣いと振り絞るような声を聞き、ランベールが初めて素顔と本心を見せてくれたのだと、レティシアは悟った。
「それでも、私は本当にあなたのことが、好きで……知ってほしかった。傷ついたって、どうしたっていいって思ってしまったの」