クールな騎士はウブな愛妻に甘い初夜を所望する
鼓動がどんどん速まっていた。本を持つ手が震えてくる。認めたくない。そんなわけがない。必死に押さえて沈めようとするが、一つの疑念は、いくら沈めても沈めても、ものすごい速さで、表面へと浮かびあがってくる。
(ランベールは、謀反を起こそうとしている?)
口に出してしまいそうになり、レティシアはとっさに自分の唇に手をあてた。そして否定したくて無意識に首を横に振った。
そんなわけがない。ランベールはレティシアを大事にしてくれた。
彼ほど忠誠心のつよい、信頼できる人間をレティシアは知らない。
しかし、本を最後まで読むようにいったときのランベールの表情、言葉、それらが、否定できないことを示している。
秘めた想いというのは、謀反を起こすつもりでいたことを、隠していたということを言いたいのだろうか。
(そんな……嘘よ。どうして。どうしてなの、ランベール……)
息が乱れ、指が震え、冷や汗が、背中に伝っていく。
(でも、なぜ、私にその話を気づかせたの?)
謀反を考えているのなら、黙って実行すれば、よかったはずだ。
どうしてレティシアに親切にしてくれたのだろうか。王族であるレティシアの信頼を得るための策略だとでもいうのだろうか。
そんなはずがない。疑いたくない。彼は、心からレティシアを大事にしてくれていたはずだ。
動揺を押し殺しながら、レティシアは本文中の騎士の動きに注目して、物語を読み解くことにした。そこにランベールの本心が隠されていると思ったからだ。
『戦火に焼かれ、親も兄弟も家も財産も……すべてを失った少年は、騎士になった』
その一文にもショックを受ける。ランベールの過去はそんなにも酷いものだったのだろうか。そうだとしたら、彼が考えることはなんだろう。
(復讐のため……?)
鼓動はさっきよりもさらに激しく胸を打ち、窒息するのではないかというくらい、呼吸するのが苦しくなってくる。
『騎士は、平和の世界を望んだ。美しい花が咲きほころび、陽のあたる場所が、存在する世界を。花の妖精は、彼の心を救った。だが、太陽の王は、光が当たらない場所に花の妖精を隠した。独占するつもりなのだ。その罪を許すまいと誓う。悪辣な太陽の王は討つべきだ――』
悪辣な太陽の王は討つべきだ……その強い意志が込められた言葉に、ぞくりとする。
(ランベールは、謀反を起こそうとしている?)
口に出してしまいそうになり、レティシアはとっさに自分の唇に手をあてた。そして否定したくて無意識に首を横に振った。
そんなわけがない。ランベールはレティシアを大事にしてくれた。
彼ほど忠誠心のつよい、信頼できる人間をレティシアは知らない。
しかし、本を最後まで読むようにいったときのランベールの表情、言葉、それらが、否定できないことを示している。
秘めた想いというのは、謀反を起こすつもりでいたことを、隠していたということを言いたいのだろうか。
(そんな……嘘よ。どうして。どうしてなの、ランベール……)
息が乱れ、指が震え、冷や汗が、背中に伝っていく。
(でも、なぜ、私にその話を気づかせたの?)
謀反を考えているのなら、黙って実行すれば、よかったはずだ。
どうしてレティシアに親切にしてくれたのだろうか。王族であるレティシアの信頼を得るための策略だとでもいうのだろうか。
そんなはずがない。疑いたくない。彼は、心からレティシアを大事にしてくれていたはずだ。
動揺を押し殺しながら、レティシアは本文中の騎士の動きに注目して、物語を読み解くことにした。そこにランベールの本心が隠されていると思ったからだ。
『戦火に焼かれ、親も兄弟も家も財産も……すべてを失った少年は、騎士になった』
その一文にもショックを受ける。ランベールの過去はそんなにも酷いものだったのだろうか。そうだとしたら、彼が考えることはなんだろう。
(復讐のため……?)
鼓動はさっきよりもさらに激しく胸を打ち、窒息するのではないかというくらい、呼吸するのが苦しくなってくる。
『騎士は、平和の世界を望んだ。美しい花が咲きほころび、陽のあたる場所が、存在する世界を。花の妖精は、彼の心を救った。だが、太陽の王は、光が当たらない場所に花の妖精を隠した。独占するつもりなのだ。その罪を許すまいと誓う。悪辣な太陽の王は討つべきだ――』
悪辣な太陽の王は討つべきだ……その強い意志が込められた言葉に、ぞくりとする。