クールな騎士はウブな愛妻に甘い初夜を所望する
ランベールがくれるのなら、どんなものでも嬉しい。お花はとても嬉しい。けれど、今日は複雑でもあった。
形に残るものがほしいと言い募ったレティシアとの出発前のことを、彼はなかったことにする気ではないか。そんな不安がよぎったのだ。
思い返せば、彼が度々こうして花を見せてくれたのは、レティシアが感じていた以上に、特別な意味があったのかもしれない。
彼の信念に反する理由から、どうしても形にできないからこそ、花に想いを込めてくれていたのではないだろうか。
あれから本を読むにあたって、レティシアは花言葉を調べたり、クロエから聞いたりもした。
ポピーの花言葉はたしか『慰め』だ。彼は落ち込んでいるレティシアを思いやってくれたのかもしれない。
それから、押し花にした黄色いクロッカスの花言葉はたしか『私を信じて』だったはずだ。その黄色いクロッカスを栞にしてはどうかと、ランベールが提案した。それが、実は彼からの見えない暗号の発信だったとしたら……。
(信じてほしい……? 私に何を信じてほしいの?)
思いつめた彼女の様子を察したのか、ランベールは声を潜めた。
「レティシア様、申し訳ありません。今夜、遅い時間に……人払いをしてもらいます。それまで部屋で待っていてくださいますか」
その言葉に、レティシアは弾かれたように彼を見つめた。
「ランベール、私、最後までちゃんと本を読んだわ。何度も、何度も、読んだわ」
レティシアはとにかく意思表示をしたくて、そう告げた。たとえそれで彼が心変わりをするわけではなくても。
「そうですか」
ランベールの表情は変わらなかった。
「話は、そのときに聞かせてくれるのね?」
「はい。今は、人の目が多いです。使用人の往来もある。私も任務を放棄するわけにはいきませんから」
部屋の後方を気にしながら、ランベールは言った。
「わかったわ。でも、お願いよ。へんなふうにだけは考えないでね」
ランベールは微かに笑みを浮かべ、それから退出していった。
彼の残したポピーの花をそっと愛でながら、レティシアはため息をつく。
レティシアはとにかく不安でたまらなかった。気持ちが少しも休まらない。やっと会えたと思ったのに、夜まで何も聞くことができないのがもどかしい。遠征先から帰ってくるのを待っていたときよりもずっと長い時間に感じられてならなかった。
形に残るものがほしいと言い募ったレティシアとの出発前のことを、彼はなかったことにする気ではないか。そんな不安がよぎったのだ。
思い返せば、彼が度々こうして花を見せてくれたのは、レティシアが感じていた以上に、特別な意味があったのかもしれない。
彼の信念に反する理由から、どうしても形にできないからこそ、花に想いを込めてくれていたのではないだろうか。
あれから本を読むにあたって、レティシアは花言葉を調べたり、クロエから聞いたりもした。
ポピーの花言葉はたしか『慰め』だ。彼は落ち込んでいるレティシアを思いやってくれたのかもしれない。
それから、押し花にした黄色いクロッカスの花言葉はたしか『私を信じて』だったはずだ。その黄色いクロッカスを栞にしてはどうかと、ランベールが提案した。それが、実は彼からの見えない暗号の発信だったとしたら……。
(信じてほしい……? 私に何を信じてほしいの?)
思いつめた彼女の様子を察したのか、ランベールは声を潜めた。
「レティシア様、申し訳ありません。今夜、遅い時間に……人払いをしてもらいます。それまで部屋で待っていてくださいますか」
その言葉に、レティシアは弾かれたように彼を見つめた。
「ランベール、私、最後までちゃんと本を読んだわ。何度も、何度も、読んだわ」
レティシアはとにかく意思表示をしたくて、そう告げた。たとえそれで彼が心変わりをするわけではなくても。
「そうですか」
ランベールの表情は変わらなかった。
「話は、そのときに聞かせてくれるのね?」
「はい。今は、人の目が多いです。使用人の往来もある。私も任務を放棄するわけにはいきませんから」
部屋の後方を気にしながら、ランベールは言った。
「わかったわ。でも、お願いよ。へんなふうにだけは考えないでね」
ランベールは微かに笑みを浮かべ、それから退出していった。
彼の残したポピーの花をそっと愛でながら、レティシアはため息をつく。
レティシアはとにかく不安でたまらなかった。気持ちが少しも休まらない。やっと会えたと思ったのに、夜まで何も聞くことができないのがもどかしい。遠征先から帰ってくるのを待っていたときよりもずっと長い時間に感じられてならなかった。