クールな騎士はウブな愛妻に甘い初夜を所望する
「私が、騎士団に入るずっと前のことです」
ランベールはそう言ってから、レティシアを抱きしめていた腕をほどいた。それから彼は彼女の手を引き、ベッドに並んで腰を下ろす。
そして彼は迷いを解くように、過去のことを話しはじめた。
「初めて出会ったのは、グランディアス王国に来る前。国境近くの戦争孤児のいる教会に、レティシア様がボランティアで炊き出しのお手伝いをしていたときのことです。そのとき、親兄弟を亡くし、戦争孤児だった私は、そこであなたと初めて出会いました」
それを聞いて、レティシアは驚いた。たしかに、先代の父王と共に慰労に回っていた。そこに、ランベールがいたなんて知らなかったし、気付くこともなかった。
「それって……たしか、六、七年前になるわよね」
「ええ。私は、あのとき絶望のさなかにあった」
彼が語っているのは、彼の祖国、西のヴァレリー王国にいたときのことだ。そのときのことを教えてくれた。
グランディアス王国とヴァレリー王国の国境の領地が、停戦によりグランディアス側に譲渡された年……戦争孤児だった彼は村外れの教会に身を寄せていた。
国境付近は、比較的温暖な地域にも関わらず、不幸にもその年は寒波に見舞われ、戦争と自然災害の板挟みにあった民は、次々に命を落としていった。
知っていた顔も翌日には屍になってしまっている。いつか自分も近いうちに同じようになってしまうかもしれない。そんな恐怖が常につきまとっていた、と。
「飢えは苦しかったが、自分の死などは怖くなかった。取り残されることの方が辛いことを知っていたからです」
哀しげに睫毛を伏せるランベールを見て、レティシアは彼の中に少年時代の彼を見た気がした。
ランベールはそう言ってから、レティシアを抱きしめていた腕をほどいた。それから彼は彼女の手を引き、ベッドに並んで腰を下ろす。
そして彼は迷いを解くように、過去のことを話しはじめた。
「初めて出会ったのは、グランディアス王国に来る前。国境近くの戦争孤児のいる教会に、レティシア様がボランティアで炊き出しのお手伝いをしていたときのことです。そのとき、親兄弟を亡くし、戦争孤児だった私は、そこであなたと初めて出会いました」
それを聞いて、レティシアは驚いた。たしかに、先代の父王と共に慰労に回っていた。そこに、ランベールがいたなんて知らなかったし、気付くこともなかった。
「それって……たしか、六、七年前になるわよね」
「ええ。私は、あのとき絶望のさなかにあった」
彼が語っているのは、彼の祖国、西のヴァレリー王国にいたときのことだ。そのときのことを教えてくれた。
グランディアス王国とヴァレリー王国の国境の領地が、停戦によりグランディアス側に譲渡された年……戦争孤児だった彼は村外れの教会に身を寄せていた。
国境付近は、比較的温暖な地域にも関わらず、不幸にもその年は寒波に見舞われ、戦争と自然災害の板挟みにあった民は、次々に命を落としていった。
知っていた顔も翌日には屍になってしまっている。いつか自分も近いうちに同じようになってしまうかもしれない。そんな恐怖が常につきまとっていた、と。
「飢えは苦しかったが、自分の死などは怖くなかった。取り残されることの方が辛いことを知っていたからです」
哀しげに睫毛を伏せるランベールを見て、レティシアは彼の中に少年時代の彼を見た気がした。