クールな騎士はウブな愛妻に甘い初夜を所望する
もうだいぶ前から彼は計画をしていたということになる。衝動的なものではないのだろう。彼を止めることはできないのだと、レティシアは悟った。
「あなたの護衛につきながら、このような裏切り行為をしていたこと……どうかお許しください」
ランベールは視線を落とす。レティシアは首を横に振った。
「……それが、あなたにとっての矜(きょう)持(じ)なら、咎(とが)められないわ」
「レティシア様、あなたが輿入れをせず、私と共に来るということは、表面上、あなたにとって、一時的にでも、自国を裏切ることになります。さっきも言ったとおり、作戦が失敗に終わったとき、このことが露呈されれば大きな罪に問われます。それでも、私と一緒になる覚悟はありますか」
ランベールの眼差しは、いつものように澄んでいた。グランディアス王国の騎士として、彼が初めて護衛につくと紹介された日と、なんら変わりない。
彼には凛とした姿勢とまっすぐな情熱がある。彼がただの野心のために無茶な行動をするとは思えない。彼が信頼に値するからこそ、味方となる協力者が増えたのだろう。
叔父である現国王カルロスのことを考えたら、もちろん胸が痛まないわけではない。けれど、一時的な情けではこの国の人たちを守れない。その甘えた感情が国をだめにしていたのだ。甘い蜜だけを啜っていたら、いつか財は底をつく。
そのとき、グランディアス王国には味方がいるだろうか。手を差し伸べてきた国を幾つも苦しめてきた。そんな国を、助けたいと思うだろうか。
これから先のことをもっと深く考えなくてはいけない。それは、若すぎるという理由で王位継承の責任を果たさなかった自分のやるべきことではないだろうか。
不意に、レティシアは亡くなった父……フリードリヒ二世のことを思い浮かべた。
父は前から弟のカルロスが王位を継ぐかもしれないことを危懼 していた。もしも父が生きていたら、どうしていただろうか。
答えは、もう教えてもらえない。けれど、不思議と、レティシアが今考えていることに背中を押してもらえる気がした。
「……ついていくわ。私は、あなたと出会ったことが運命だと思っているの。だから万が一、失敗してあなたが死んでしまうようなことがあったら、私も死ぬ覚悟をする。そういうのを運命共同体というのでしょう?」
「あなたの護衛につきながら、このような裏切り行為をしていたこと……どうかお許しください」
ランベールは視線を落とす。レティシアは首を横に振った。
「……それが、あなたにとっての矜(きょう)持(じ)なら、咎(とが)められないわ」
「レティシア様、あなたが輿入れをせず、私と共に来るということは、表面上、あなたにとって、一時的にでも、自国を裏切ることになります。さっきも言ったとおり、作戦が失敗に終わったとき、このことが露呈されれば大きな罪に問われます。それでも、私と一緒になる覚悟はありますか」
ランベールの眼差しは、いつものように澄んでいた。グランディアス王国の騎士として、彼が初めて護衛につくと紹介された日と、なんら変わりない。
彼には凛とした姿勢とまっすぐな情熱がある。彼がただの野心のために無茶な行動をするとは思えない。彼が信頼に値するからこそ、味方となる協力者が増えたのだろう。
叔父である現国王カルロスのことを考えたら、もちろん胸が痛まないわけではない。けれど、一時的な情けではこの国の人たちを守れない。その甘えた感情が国をだめにしていたのだ。甘い蜜だけを啜っていたら、いつか財は底をつく。
そのとき、グランディアス王国には味方がいるだろうか。手を差し伸べてきた国を幾つも苦しめてきた。そんな国を、助けたいと思うだろうか。
これから先のことをもっと深く考えなくてはいけない。それは、若すぎるという理由で王位継承の責任を果たさなかった自分のやるべきことではないだろうか。
不意に、レティシアは亡くなった父……フリードリヒ二世のことを思い浮かべた。
父は前から弟のカルロスが王位を継ぐかもしれないことを危懼 していた。もしも父が生きていたら、どうしていただろうか。
答えは、もう教えてもらえない。けれど、不思議と、レティシアが今考えていることに背中を押してもらえる気がした。
「……ついていくわ。私は、あなたと出会ったことが運命だと思っているの。だから万が一、失敗してあなたが死んでしまうようなことがあったら、私も死ぬ覚悟をする。そういうのを運命共同体というのでしょう?」