クールな騎士はウブな愛妻に甘い初夜を所望する
ランベールはそう言い、レティシアから離れようとする。彼女はとっさに彼の首に腕を回して、引き止めた。
「いいの。今すぐ奪って、構わないわ」
レティシアは勇気を出して言った。
しかしランベールは小さくため息をつき、なだめるように髪を撫でるだけだった。
「今はまだ……だめです。今ここで結ばれて、それこそ、お別れになってしまったらと思うと……自分が抑えられず、すみません」
たしかに彼の言うとおりかもしれない。離れ難かったが、レティシアはランベールの首に回していた腕をほどいた。
「いつか、来たるときがきたら、きちんと、あなたを大事にしますから」
そう言って、ランベールはレティシアを引き離した。
「ほんとうね? 約束よ」
「ええ。もう逃げません。約束します」
レティシアは潤んだ瞳のまま、ランベールを見つめた。彼の瞳の中に、こうしてまた映りたいと切に願った。
「そんな顔をしないで。それとも、まだ何か形があるものがなければ、不安ですか」
ランベールは言って、レティシアの小指に自分のそれを搦めた。指切りのつもりらしい。せめて、と彼は考えてくれたのだろう。そんな彼のやさしさに胸がよじれるような甘い痛みが走った。
「いいえ。大丈夫。あなたを信じてるから」
レティシアは小指に力を込めた。
「ありがとう。私だけの……かわいい王女様」
それから指切りをすると、ランベールはレティシアを抱き起こし、彼女にキスをした。
レティシアは彼の唇を受け止め、そっと目をつむる。
きちんと彼と向き合えてよかった。想いを伝えてよかった。彼の想いが知れてよかった。
ランベールのぬくもりを感じ、レティシアは久方ぶりに安堵に包まれていた。
ようやく彼は同じ目線に立ってくれたのだ。きっと悩ませてしまったことだろう。でも、彼にも信念があるように、彼女もまたそれは同じだ。詫びようとは思わなかった。
ただ、感謝を告げなくてはならないのは、レティシアの方だった。
「……ありがとう。私だけの、大切な騎士様……」
レティシアがランベールの言い方を真似すると、彼は穏やかに微笑んでいた。
ふたりの間には、たしかにこのとき希望が灯っていた。
▼節タイトル
第五章 太陽の王
▼本文
レティシアの誕生日の三日前――。
その日は、朝早くから外の様子が騒がしかった。
「いいの。今すぐ奪って、構わないわ」
レティシアは勇気を出して言った。
しかしランベールは小さくため息をつき、なだめるように髪を撫でるだけだった。
「今はまだ……だめです。今ここで結ばれて、それこそ、お別れになってしまったらと思うと……自分が抑えられず、すみません」
たしかに彼の言うとおりかもしれない。離れ難かったが、レティシアはランベールの首に回していた腕をほどいた。
「いつか、来たるときがきたら、きちんと、あなたを大事にしますから」
そう言って、ランベールはレティシアを引き離した。
「ほんとうね? 約束よ」
「ええ。もう逃げません。約束します」
レティシアは潤んだ瞳のまま、ランベールを見つめた。彼の瞳の中に、こうしてまた映りたいと切に願った。
「そんな顔をしないで。それとも、まだ何か形があるものがなければ、不安ですか」
ランベールは言って、レティシアの小指に自分のそれを搦めた。指切りのつもりらしい。せめて、と彼は考えてくれたのだろう。そんな彼のやさしさに胸がよじれるような甘い痛みが走った。
「いいえ。大丈夫。あなたを信じてるから」
レティシアは小指に力を込めた。
「ありがとう。私だけの……かわいい王女様」
それから指切りをすると、ランベールはレティシアを抱き起こし、彼女にキスをした。
レティシアは彼の唇を受け止め、そっと目をつむる。
きちんと彼と向き合えてよかった。想いを伝えてよかった。彼の想いが知れてよかった。
ランベールのぬくもりを感じ、レティシアは久方ぶりに安堵に包まれていた。
ようやく彼は同じ目線に立ってくれたのだ。きっと悩ませてしまったことだろう。でも、彼にも信念があるように、彼女もまたそれは同じだ。詫びようとは思わなかった。
ただ、感謝を告げなくてはならないのは、レティシアの方だった。
「……ありがとう。私だけの、大切な騎士様……」
レティシアがランベールの言い方を真似すると、彼は穏やかに微笑んでいた。
ふたりの間には、たしかにこのとき希望が灯っていた。
▼節タイトル
第五章 太陽の王
▼本文
レティシアの誕生日の三日前――。
その日は、朝早くから外の様子が騒がしかった。