クールな騎士はウブな愛妻に甘い初夜を所望する
「おまえの側にランベールがいないということは、主導者は……そういうことか。誰よりも信頼をされていた男が、か」
「彼は……この国を愛していたんです。だからこそ、現状を変えようとしたんです」
レティシアが必死に訴える一方、カルロスの表情には嫌悪が広がっていく。
「その結果に戦争か? 誰より戦争を憎んでいる男ではなかったのか。飼い犬が血迷ったとしか思えぬ」
カルロスは言って、受け入れるまいと首を振った。それでも構わずにレティシアは続けた。
「叔父様、戦をしかけてきたのは、あくまでもヴァレリー側です。今ではなくもっと前にそうなってもおかしくなかった。ずっとその危険を感じながら、いつまでも変わろうとしない君主に、彼はずっと悩んでいたのですよ。彼は命をも捧げたのですよ。グランディアス王国のために、民のために。けっして、愚弄していい相手ではありません。騎士団も、革命軍も、皆、そんな彼に従っているんです」
「しかし……その結果が戦では本末転倒ではないか。奇襲とは……ヴァレリー側も血迷ったな。さては、以前に交渉を破棄した報復のつもりか。器の小さいことよ。だが、それでは……我が国は終わったも同然だ。戦力では敵わない。だから戦争など……余はなぜ、このような仕打ちに……」
カルロスは苦虫を噛み潰したような顔をする。恐怖が先行してしまったのか、ぶつぶつと独り言を繰り返す。ともすれば、その場に崩折れそうだった。
青い顔をして震えている目の前の王が、レティシアはだんだんと小さく 哀れに思えてきてしまった。
「必ず、この戦には勝ちます。ただぶつかり合うだけが勝負ではありません。従えて法外な交渉をすることだけが外交ではないのです。敵国は明日には必ず友好国に変わります。そして私たちがこれから変えていかなくてはいけないんです。戦が起きていなくても、いつかは内乱が起きていたでしょう。レジスタンスをしらみ潰しに叩いたって、誰の心にも響かない。内側から変わらなくては、何も望めません」
レティシアの強い訴えに、カルロスは一瞬怯み、それから後悔の念を込めるように、目をつむった。
しばらく、沈黙が流れた。
「……余は、たしかに、間違えていたかもしれん。じゃが、気付いたときには手遅れだった。もはや後戻りをすることはできなかったのじゃ」
カルロスは勢いを失い、深くうなだれる。
「叔父様……」
「彼は……この国を愛していたんです。だからこそ、現状を変えようとしたんです」
レティシアが必死に訴える一方、カルロスの表情には嫌悪が広がっていく。
「その結果に戦争か? 誰より戦争を憎んでいる男ではなかったのか。飼い犬が血迷ったとしか思えぬ」
カルロスは言って、受け入れるまいと首を振った。それでも構わずにレティシアは続けた。
「叔父様、戦をしかけてきたのは、あくまでもヴァレリー側です。今ではなくもっと前にそうなってもおかしくなかった。ずっとその危険を感じながら、いつまでも変わろうとしない君主に、彼はずっと悩んでいたのですよ。彼は命をも捧げたのですよ。グランディアス王国のために、民のために。けっして、愚弄していい相手ではありません。騎士団も、革命軍も、皆、そんな彼に従っているんです」
「しかし……その結果が戦では本末転倒ではないか。奇襲とは……ヴァレリー側も血迷ったな。さては、以前に交渉を破棄した報復のつもりか。器の小さいことよ。だが、それでは……我が国は終わったも同然だ。戦力では敵わない。だから戦争など……余はなぜ、このような仕打ちに……」
カルロスは苦虫を噛み潰したような顔をする。恐怖が先行してしまったのか、ぶつぶつと独り言を繰り返す。ともすれば、その場に崩折れそうだった。
青い顔をして震えている目の前の王が、レティシアはだんだんと小さく 哀れに思えてきてしまった。
「必ず、この戦には勝ちます。ただぶつかり合うだけが勝負ではありません。従えて法外な交渉をすることだけが外交ではないのです。敵国は明日には必ず友好国に変わります。そして私たちがこれから変えていかなくてはいけないんです。戦が起きていなくても、いつかは内乱が起きていたでしょう。レジスタンスをしらみ潰しに叩いたって、誰の心にも響かない。内側から変わらなくては、何も望めません」
レティシアの強い訴えに、カルロスは一瞬怯み、それから後悔の念を込めるように、目をつむった。
しばらく、沈黙が流れた。
「……余は、たしかに、間違えていたかもしれん。じゃが、気付いたときには手遅れだった。もはや後戻りをすることはできなかったのじゃ」
カルロスは勢いを失い、深くうなだれる。
「叔父様……」