クールな騎士はウブな愛妻に甘い初夜を所望する
 新王国はユーフォリア王国と名付けられた。ランベールが提案し、議会で決議がなされた。
 また、ヴァレリー王国との終戦により調印式が行われ、旧グランディアス王国と、ランベールの祖国であるヴァレリー王国が合併され、それに伴い、その他の諸外国とも同盟を結ぶ運びとなった。
 旧グランディアス王国の国王カルロスは処刑を免れ、新王国の管理化におかれることとなった。
 後に、ランベールが王として承認された際、奇しくも彼がヴァレリー王国の重鎮を輩出した名門貴族の血を引いていることがわかった。戦争に巻き込まれ、孤児になった彼は自分の本当の身元など知る術がなかったのだろう。彼は良き王になるべくしてなったのかもしれない。無論、すべては彼の過去の経験から、努力をし続けた結果だ。レティシアはますます彼を誇らしく感じてならなかった。
 それから数ヶ月が過ぎ、ユーフォリア王国は中央の国としてふさわしい役目を担えるように、少しずつ内側から変わりつつある。
 騎士として側で支えてくれた彼は、これからは夫として側にいる。今度はレティシアが彼を支える番だと、彼女は思っている。
 ふたりは共に手を取り合い、国を導いていかねばならない立場になった。国内の問題も、外交の問題も、まだまだ課題は多い。一朝一夕では解決することではない。新王国の体制が落ち着くまで、これからもよりいっそう多忙な日々を極めることになるだろう。
(でも、今日は……今日だけは、愛する人との結婚式だから、少しの間の自由を許してください………)
 政務に追われていた真夏の暑い日々が通り過ぎ、まもなく秋の収穫祭を間近に控える頃――。
 いよいよ、ランベールとレティシアは結婚式を挙げることとなった。
 だいぶ涼しくなった風も、嬉しくて火照った身体 にはちょうどいいくらいだ。先ほど、レティシアにウエディングドレスを着付けてくれたクロエが、大粒の涙を流して喜んでくれたことが、目に焼き付いている。
 母のように見守ってくれていた彼女に、レティシアはとても感謝している。そしてこれからも、心強い存在でありつづけることだろう。
 純白のドレスに身を包んだレティシアは、初めてランベールと出会った日のことや、これまでの彼との思い出を振り返りながら、大聖堂のドアが開かれるのを待っていた。
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