クールな騎士はウブな愛妻に甘い初夜を所望する
と、ランベールは一言添え、レティシアの前に一輪の黄色の花を差しだした。まるで黄色いドレスのフリルみたいな形をした花が愛らしい。
彼はいつも遠征から帰ってくると、こうして真っ先にレティシアのいる離宮に立ち寄り、花を届けにきてくれるのだ。
「素敵。いつもありがとう。これは、初めて見る花だわ。なんていう名前かしら」
レティシアはランベールから花を受けとり、顔を近づけて、ほのかに漂う甘い香りを吸い込む。
「クロッカスですよ」
と、ランベールが言った。
「クロッカス……覚えておくわね」
レティシアはランベールに笑顔を向けながら、野に咲く花々が緑の絨毯と共に風に揺らされる光景を想像していた。
「きっと、これからの季節は、庭の薔薇だけでなく、クロッカスみたいな色々なお花が咲きこぼれるのでしょうね」
季節が変わるごとに咲く花も変わっていく。だから彼は王宮に閉じこもりがちなレティシアに野の花を持ってきてくれる。彼の無事と共に届けられる花が、レティシアにとって何よりうれしいお土産だった。
ランベールに会えて嬉しい気持ちでいっぱいに満たされたはずのレティシアだったが、明るい花の色を見ていたら、このところずっと疑問に思い抑えていたものが、とてつもない勢いでこみ上げてくるのを感じていた。
「私も外に出られたらいいのに……誕生祭には城下町に出してほしいって侍女を通してお願いしているのだけれど、この様子だと聞いてもらえそうにないわ。離宮につれてこられてからは、護衛をつけていても外出がだめだなんて……どんどん窮屈になるばかりね。そのうち、完全に閉じ込められてしまうんじゃないかしら……」
言葉にすると、ますます悲しくて、泣きたくなってきてしまう。
以前は護衛をつけて外に出られた。ランベールと一緒に城下町を巡ったこともある。父と一緒に様々なところへ赴き、民の様子を見て、様々な意見に耳を傾けた。
今は護衛をつけていても、外出どころか、王宮内も自由に動けないのだ。常に行動は制限され、監視されている。それがレティシアには不満だった。
レティシアが大きなため息をつくと、ランベールは微かに困った顔をしていた。
彼にはどうにもできない代わりに、レティシアに同情してくれているのだろう。彼はとてもやさしい人なのだ。
彼はいつも遠征から帰ってくると、こうして真っ先にレティシアのいる離宮に立ち寄り、花を届けにきてくれるのだ。
「素敵。いつもありがとう。これは、初めて見る花だわ。なんていう名前かしら」
レティシアはランベールから花を受けとり、顔を近づけて、ほのかに漂う甘い香りを吸い込む。
「クロッカスですよ」
と、ランベールが言った。
「クロッカス……覚えておくわね」
レティシアはランベールに笑顔を向けながら、野に咲く花々が緑の絨毯と共に風に揺らされる光景を想像していた。
「きっと、これからの季節は、庭の薔薇だけでなく、クロッカスみたいな色々なお花が咲きこぼれるのでしょうね」
季節が変わるごとに咲く花も変わっていく。だから彼は王宮に閉じこもりがちなレティシアに野の花を持ってきてくれる。彼の無事と共に届けられる花が、レティシアにとって何よりうれしいお土産だった。
ランベールに会えて嬉しい気持ちでいっぱいに満たされたはずのレティシアだったが、明るい花の色を見ていたら、このところずっと疑問に思い抑えていたものが、とてつもない勢いでこみ上げてくるのを感じていた。
「私も外に出られたらいいのに……誕生祭には城下町に出してほしいって侍女を通してお願いしているのだけれど、この様子だと聞いてもらえそうにないわ。離宮につれてこられてからは、護衛をつけていても外出がだめだなんて……どんどん窮屈になるばかりね。そのうち、完全に閉じ込められてしまうんじゃないかしら……」
言葉にすると、ますます悲しくて、泣きたくなってきてしまう。
以前は護衛をつけて外に出られた。ランベールと一緒に城下町を巡ったこともある。父と一緒に様々なところへ赴き、民の様子を見て、様々な意見に耳を傾けた。
今は護衛をつけていても、外出どころか、王宮内も自由に動けないのだ。常に行動は制限され、監視されている。それがレティシアには不満だった。
レティシアが大きなため息をつくと、ランベールは微かに困った顔をしていた。
彼にはどうにもできない代わりに、レティシアに同情してくれているのだろう。彼はとてもやさしい人なのだ。