クールな騎士はウブな愛妻に甘い初夜を所望する
 なんていったらいいのだろうか。紳士的な彼はもちろん好きなのだけれど、きっとレティシアはもっと彼に近づきたいのだと思う。
「私は、王になっても、あなたの騎士のままで変わりませんよ。ずっとね」
「ずっと?」
 ランベールは頷き、ベッドのカーテンを留めていたタッセルを解いた。
 薄暗くなったふたりきりの空間に、レティシアはどきどきした。
「王は国のもの、民のもの……騎士王と呼ばれることも誇りに思いますが、でも、ふたりでいるときは、ただひとりの、あなただけの騎士でいたいんです」
 そう言うと、ランベールは自分の着ているものを脱ぎ、それからレティシアのドレスを丁寧に脱がせていった。
 お互いを遮るものはもうなにもない、一糸まとわぬ姿のまま、ふたりは素肌を重ねた。
 恥じらいはあるけれど、一方で、彼に全てを知ってほしい欲求もあった。
 そして彼のことももっと深く知りたいし、感じ合いたいという熱い衝動もあった。
「私だけの騎士なら、もっと親しくしてくれていいのよ。ランベール……」
「はい。では、今からそうさせていただきますね。我がいとしの妃……レティシア」
 肌を密着させるようにして、唇を重ね合わせた。角度を変えながら、深くくちづけられ、弄られる口腔に、熱い吐息が溢れる。
 ランベールの無骨な手が、レティシアのやわらかい部分を、大切に包んでくれる。
 指先や、手のひらで触られるたびに、レティシアは感じたことのない幸福感に酔いしれていた。
 好きな人に触れられるのは、なんて気持ちがいいのだろう。正直、ちょっぴり怖かったけれど、ランベールがやさしくしてくれるから、だんだんと力が抜けていく。
 彼はいつだってやさしい。ずっとレティシアを守ってくれていた。
 怖いものから、見えないものから、大きなものから。今だって、そうだ。
「怖いですか?」
 ランベールはレティシアの様子を気にかけて声をかけてくれる。
「……怖くないわ。大丈夫」
 その代わりに、ランベールの熱い体温を感じるにつれ、レティシアの鼓動はどんどん速まっていった。
 彼に触られる場所がその瞬間からたちまち熱くなってくる。胸のふくらみから、みぞおちの下へ、何か自分の内側から溢れるものにレティシアは戸惑っていた。
 未知の領域に触れられたとき、やっぱり怖いと思った。
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