クールな騎士はウブな愛妻に甘い初夜を所望する
 けれど、この怖さは、嫌じゃない。奪われたい、そんなふうに願う感情から生まれてくるものだ。
「……震えてる」
「初めて、だもの。でも、やめないで……あなたのものになりたい」
 本当の意味で結ばれたい。唯一無二の、互いになくてはならない、番に。
 レティシアの願いを、ランベールは叶えてくれる。返事の代わりに彼は彼女の唇にやさしくキスを落とす。
「大事にするから、力を抜いて。レティシア」
 耳の側で囁かれた甘い言葉に、全身がとろけていきそうになる。彼にやさしくほぐされた箇所が、とろけるような甘い感傷をくれた。
 いたわるように、慈しむように、やさしく、激しく、すべてを注ぐように。
 いくつものキスの嵐に、レティシアは彼を感じながら息を乱した。
 外側からしか見たことがなかったから、男の人の体躯がこんなにもたくましく熱いものだったなんて、レティシアは知らなかった。
 生まれてはじめて知った経験に驚きながら、レティシアは男らしいランベールの姿に胸をときめかせる。
 一方、ランベールの胸からも激しい鼓動が伝わってきて、欲してくれているのだとわかると、レティシアはたまらなく嬉しくなった。
 同じ気持ちで、今、こうして結ばれようとしているのだ。そのことが尊く感じられ、目頭がじわりと熱くなってくる。
 愛撫されるうちに、お互いの肌が汗ばんでいた。彼を受け入れる直前、身体に力が入りそうになると、ランベールが両手を握ってくれた。
「愛してる……レティシア」
 そのやさしい囁きが、細胞の隅々にまで染み渡っていく。彼がほしいと、全身が粟立つみたいだった。
「……愛してるわ。ランベール」
 レティシアも同じ気持ちを返したくて、そう伝えた。
 やがて、彼のまっすぐな情熱を内側に受け入れ、レティシアは体内の痛みと共にランベールをめいっぱい感じながら、彼への愛に涙をこぼした。
「……辛い?」
「いいえ。嬉しい、の」
 ずっと大好きだった人と、結ばれることができた。その尊い悦びに胸が震える。もっと奪って、もっと一つになって、もっと深いところで繋がりあいたい。
「……ああ、レティシア。どうして、あなたはそんなに、可愛いんだろう」
 ランベールが声を震わせる。
 やさしい彼が、余裕を失ってしまうくらい激しく求めてくれることが嬉しくて。レティシアは彼を感じながら、感極まってしまう。
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