クールな騎士はウブな愛妻に甘い初夜を所望する
「……好き、大好きよ、ランベール……っ」
 何度も、何度も、彼の名前を呼んだ。もう何も考えられなかった。お互いのことだけをただ無我夢中で求めていた。
 部屋には、衣擦れの音と愛し合うふたりの声が秘めやかに響いていた。
 レティシアはランベールの情熱を感じながら、彼の荒々しい吐息や、乱れる声に耳をそばだてた。彼の仕草、表情、そのどれもがレティシアの胸をきゅっと締め付ける。
 身体の奥に与えられる初めての痛みは、幾度となく求められるにつれ、いつの間にか和らぎ、代わりに、狂おしいほどの愛おしさへと変わっていく。
 愛しくて、愛しくて。
 抑圧していた感情が爆発したそのとき。頭が真っ白になり、体内でふくらんでいた彼が爆ぜたのを感じて、レティシアはゆっくり力を抜いた。
 ランベールが浅い呼吸を整えながら、レティシアに覆いかぶさってくる。彼の重みを受け止め、激しい鼓動を胸に感じながら、レティシアは目をつむった。
 じんじんとした重たい痛みが、今になって襲ってくる。それが、彼と結ばれた証だと思うと、嬉しくて涙が溢れてきた。
「……レティシア」
 心配そうに彼は覗き込んでくる。
「嬉しいの。あなたに愛されて、あなたとやっと一つになれて……」
 こぼれる涙を拭って、ランベールは微笑みかけてくれた。
「……ありがとう。レティシア。身を預けてくれて。私もあなたを愛せて、とても嬉しいですよ」
 それから、お互いを慰撫するように唇を食みあい、一度離れたあと、ふたりはベッドの中央で、汗ばんだ肌を寄せ合った。
「――ねえ、今、考えていたの」
「何を?」
 ランベールが聞いてくるので、レティシアはちょっと照れながら頬を緩ませた。
 密着して並びながら、ふたりの手はしっかりと握られていた。
「私達の子どもが生まれたら。なんて名前をつけようかしらって」
 そう言って楽しそうに声を弾ませるレティシアを見て、ランベールは目を丸くした。
「おかしい?」
 喜んでくれると思ったのに、ランベールの様子が期待したものと違った。レティシアは不安になって彼を見つめた。
「いや。ずいぶん、気が早いのだな、と思って」
 と、彼は空いている方の手で首のうしろを掻いた。
「だって、私たちには家族が他にいないから、名付け親になってくれる人はいないし……」
 と言いかけるとランベールがふっと噴き出した。
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