クールな騎士はウブな愛妻に甘い初夜を所望する
 レティシアが首をかしげると、
「やはり、まだかわいいところがあるんですね」
 ランベールは笑い続けている。
「どうしてそんなに笑うの。だって私たち……今、結ばれたじゃない」
 レティシアには意味がわからない。
「たしかにそうですが、一度でコウノトリが運んできてくれるとは限りません。早く子がほしいのなら、何度も、何度も、愛し合わないと」
 まるで子に読み聞かせをするような見守る目を向けられてしまった。
「そ、そうなの?」
 やっと彼が言いたいことの意味を知って、レティシアは顔を真っ赤に染め上げた。林檎よりも薔薇よりもどんどん赤くなっていき、あっというまに耳まで朱に染まっていた。
「な、何度も……」
 あんなに全力で愛し合う行為を何度もだなんて。
 レティシアは急に目を合わせることができなくなってしまった。きっと、視線が泳いでしまっていることだろう。
 そんなレティシアの思考を察したのか、ランベールが耳の側で囁きかけてくる。
「今は、身体が辛いと思うから、ゆっくり……いや、毎日少しずつ、愛し合いましょうか」
 そう言い、レティシアの額にキスをした。その行為は、愛する妃にするというよりも、まるで騎士が少女にそうするみたいだった。
 いつまでも彼はずっと、レティシアだけの騎士なのだ。それをまた思い知らされる。
 レティシアがばつの悪そうな顔をすると、ランベールはまた笑った。
 からかわれてしまったのは悔しいけれど、彼がよく笑うようになったことが、レティシアには嬉しくて、彼女もつられたように笑顔を咲かせる。
「もうひとつ言うと、愛し方は、ひとつではありませんからね。それも覚えていきましょう」
 と、ランベールが片目をつむってみせる。レティシアはまたきょとんとするばかりだ。
「え、え?」
「少しずつ、教えますよ」
 にこり、と目を細めるだけで、ランベールはそれから言おうとしない。レティシアはむっとする。
「もったいぶるなんて、ずるいわ」
「そういうわけでは。私も、詳しくはわかりません。だから、一緒に学んでいきましょう」
 全てを知っているようでいて、知らないこともたくさんある。ランベールが教えてくれることをレティシアは誰よりも深く知りたいと思うし、彼女が感じていることを彼にも感じてほしいと思う。
「たくさん、教えて。あなたと一緒に、色々なことが知りたい」
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