クールな騎士はウブな愛妻に甘い初夜を所望する
 やさしく微笑みかけてくれる彼女に、ランベールは激しく心を揺さぶられる。誰に言われるよりも嬉しい言葉だった。
「レティシア……」
「だからね、あなたも自信を持って堂々としていて。これからもあなたはあなたのまま、皆が尊敬する、素敵な王でいてほしいの」
 レティシアに励まされ、ランベールは愛しい妃のまばゆい姿に見惚れ、思わず目を細めた。
 彼女は今でも、いつになっても、ランベールにとっての光で、凛とした花のように美しいひとだ。迷いそうになる心を包み込んで、明るく照らしてくれる。
 昔から、彼女の純真なかわいらしさと前に進もうとするたくましさが、ランベールにはとても愛しくてたまらないのだ。
 結婚してからは、今まで以上に彼女は聖母のような包み込むやさしさを感じさせるようになった。
 そんな彼女が、急に辛そうに表情を歪めたので、ランベールは慌てて駆け寄った。
「大丈夫ですか? どうしたんです? レティシア」
 しばらく忙しい日々が続いたから、具合が悪くなったのかと心配し、彼女の顔を覗き込んだ。青い顔をしているかと思えば、その正反対だった。彼女は頬を赤らめていた。
 ひょっとして熱でもあるのではないかと、ランベールは気にかけたのだが、どうやらそうではないらしい。
「大丈夫よ。実は、もう一つ、大事な報告があって……」
 と、彼女は自分の腹部に手をあてた。そしておずおずとランベールを見つめてくる。
 その仕草の意味を察したランベールは目を丸くし、レティシアをあらためて見つめ返した。
「赤ちゃんが、できたみたいなの」
 おずおずと、レティシアが報告する。
「……本当、ですか?」
 柄にもなく、ランベールはちょっと声が上ずってしまった。
「ええ」
 レティシアは嬉しそうに頬を緩ませる。
「それなら、無理をさせなかったのに。風が冷たいんですから、これを」
 ランベールは羽織っていた外套を急いで脱いで、冷えかけていたレティシアをまるごと包み込んだ。
 もっと早くに気付いてやれたらよかった。幸せに甘んじて彼女の護衛だった頃の自分を忘れかけている。
 ひとりランベールが焦って反省している一方で、レティシアは可愛らしくはしゃいでいた。
「あなたの言ったとおり。何度も、何度も、あなたが愛してくれたから。ふたりの愛が天に通じたのね」
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