クールな騎士はウブな愛妻に甘い初夜を所望する
 そう言って本当に幸せそうに微笑む彼女を見て、ランベールは自分の頬が染まるのを感じた。無垢なレティシアのことをからかえる立場ではなかった。赤くなっているだろう顔を、彼はとっさに片手で覆った。
「ランベール?」
 レティシアが首を捻った。
「いや……とても嬉しい報告で……感動していたんですよ」
「ふふ。ほら、あなたのお父様も喜んでくれているわ」
 と、レティシアはお腹を撫でながら語りかけていた。このところ彼女につよく母性を感じたのは、そういうところだったのかもしれない。
 ふたりを繋いだ奇跡を想うと、ランベールは感動のあまり他に言葉が出てこなかった。
「名前は……なんてつけましょうか」
 ふたりには他に家族が生存していないため、名付け親になってくれる人がいない。だから、ふたりで考えることになるだろう。
 レティシアを初めて抱いたとき、早とちりをした彼女がそんなことを言っていたのを思い出し、ランベールは頬を緩ませた。
「たくさん考えて、素敵な名前をつけましょう。そして、この子が生まれたら、また一緒にここへきて報告するの」
 レティシアが瞳を輝かせている。その瞳は、まるで光に照らされたエメラルドのように澄んだ色をしていた。
「そうですね。きっと、とても喜びますよ」
 ランベールの胸にも希望という光が満ちていく。風に撫でられる緑の大地と、どこまでも突き抜けるように澄んだ空が、ひとつに溶けあって世界が丸く繋がったように感じた。
 ああ、こうして絆や縁というものを結んでいくのだろう。
 レティシアとランベールに受け継がれたように、これからふたりにも我が子にたくしていくことが多くあるだろう。
(私には……守るべきものが増えた。これから、よりいっそう邁進しなくてはなるまい)
 太陽を目指す王であり、そして愛を誇れる騎士であろう。
 ランベールは決意を新たに、ユーフォリア王国の景色と、愛しい妃のまばゆい笑顔を、しっかりと心に焼きつけていた。

▼節タイトル
番外編 1 毎日あなたに恋をする ~レティシア~

▼本文
 騎士として側にいた彼は、いつも控えめに彼女を守ってくれていた。そして、結婚しても彼は騎士だった頃と変わらない。
 けれど、新婚の蜜月になってから、今までと違う彼の態度にレティシアはちょっと困っている。
< 89 / 97 >

この作品をシェア

pagetop