ボーダーライン。Neo【中】
◇ ♀
笹峰優羽さんとの熱愛疑惑からひと月半以上を数え、誰もHinokiの熱愛を口にしなくなっていた。
その代わりに今日、FAVORITEのファンであるOLさんが、興奮気味に語り合うのを耳にした。
「昨日のライブ、最高だったねー!」
「うんうん。Hinokiさん泣いてたし、もぉ、超〜萌えた〜」
「分かる〜っ! あたし、めっちゃキュンキュンしたもん!」
お待たせしました、と口を挟む余裕など無いかのように、彼女たちはかしましくはしゃいでいた。
お弁当の袋を手にし、店の自動ドアをくぐっても同じテンションで話し、去って行く。
ーー檜が泣いてたって。何の事だろう?
あたしはお弁当屋さんの仕事を終えると、その足でコンビニに向かった。
そしてその記事を目にする。
【FAVORITE、夢のコラボ共演】
興味を引かれる煽り文句に、思わずスポーツ新聞を衝動買いする。
あたしは普段から芸能やスポーツ誌に一切興味を示さないので、自宅には持ち帰らず、店内のイートインスペースでその記事を読む事にした。
一緒に買ったカフェオレに口を付けるのも忘れ、夢中で読み耽った。