ボーダーライン。Neo【中】
涙がこぼれ落ちる前に、諦めて携帯を鞄へと仕舞った。
買った新聞をそのままに、コンビニを後にする。
ーー馬鹿みたい。笹峰優羽さんとの熱愛がデマでも、あたしには全く関係ないのに。
昔みたいに、檜の好きな物についてつい語り合いたいと思ってしまった。
ーーあたしなんかが、図々しいよね。
自身を揶揄しながら、帰路をとぼとぼと歩く。
そうやって一度は萎んだ気持ちだった。
けれど、予期せず着信が入り、あたしはディスプレイを見て飛び付く様に回線を繋いだ。
「……も。もしもし?」
『あ。ごめん、いきなり。さっき、電話くれた?』
ーー檜の声だ。
あたしは感極まって、胸を押さえた。
着信拒否をされた訳でもなく、まだ彼の電話帳にあたしのアドレスが残っているのを嬉しく思った。
あたしは、うん、と返事をし、明るい声で話し始めた。
「あたしこそ、いきなり掛けちゃってごめんなさい。さっきコンビニで新聞見て、そしたら何か。直接おめでとうって言いたくなって」
『え……』
「ひの、……あ。秋月くん。昨日、憧れのバンドと共演したって記事にあって」
一瞬、名前で呼びそうになり、頬が熱くなる。
動揺してどもってしまう自分を恥ずかしく思った。