ボーダーライン。Neo【中】
「彼女達曰わく、FAVORITEが見ものなんだって?」
笑顔のあたしに相反して、彼は急に真顔になった。
どこか腑に落ちない様子で、ふぅん、と呟いている。
そのまま眉間にシワを寄せ、慎ちゃんは険しい顔をする。
「どうしたの?」
「……いや、何でも無いよ。て言うかさ?」
「うん?」
彼の反応が読み取れず、あたしは首を傾げた。
「入籍の日にち、早められないかな?」
「え」
不意にドキンと鼓動が打った。
「な、何で?」
努めて笑顔を作り、平静を装った。内心ではこれでもかと言うほど動揺し、胃を強く圧迫するような、何とも言えない不安が広がっていた。
「何でって、何となくだけど。嫌?」
「嫌って言うか」
あたしは呟き、心許ない顔付きで視線を泳がせた。
ーー嫌じゃなければ何なのだろう?
「……せ、籍を入れるのは、式の後にしようって最初に決めたじゃない?」
「そうだけど。別にこだわる問題でも無いじゃん? ……てかさ?」
慎ちゃんはそこでジッとあたしを見据えた。
ーーなに?
「最近なんか手付かずな感じがするけど。式の準備は進んでる?」
瞬間、ギクリとする。
「ええ、まぁ。一応は……」
「招待状はもう出した?」
あたしは一拍無言になり、まだだけど、と答え、皿の中のお浸しに目を落とした。