ボーダーライン。Neo【中】
「六月十七日まで、もうそろそろ二ヶ月切るけど、大丈夫?」
あたしは彼の心配を余計なお世話と捉え、ムッと頬を膨らませる。
「大丈夫よ。それにそうやって言うんなら、慎ちゃんだって手伝ってくれれば良いじゃない?」
慎ちゃんは面倒くさそうにため息をついた。
「……そうだな」
そのまま、ご馳走さん、と手を合わせ、お風呂場へ向かった。
「何なのよ」
不満をこぼしながら机上でギュッと拳を握り締める。
慎ちゃんの言葉は見事に図星をついていた。
挙式までの日数が残り三ヶ月を切った時から、あたしは全く準備に手が付かなくなった。
俗に言うマリッジブルーだ。
さっきまでいい気分でいたのに、ぶち壊しもいい所だ。現実に思い煩い、重い吐息を落とした。
変えられたチャンネルを元に戻すと、既にエンディングの曲が流れ、司会者がゲストに礼を述べていた。
あたしは棚の上に置いた携帯を手にし、彼にメールを打った。
【お疲れ様。テレビ、リアルタイムでは観れなかったから、また録画したのを観るね。おやすみなさい】
それを檜に送信し、安心の笑みを浮かべた。