裏切り姫と恋の病







「……っ……うっ……」


一気に緩んだ涙腺(るいせん)


溢れた涙がひどく塩っ辛い。


嘘だと言ってほしい。


こんな現実嘘だって……言ってくれなきゃ、胸が痛いまま、多分ずっと治まってはくれない。



こんな痛み知らない。

知りたくもなかった。


どうして?花音。


親友だと思ってたのに。

私の恋、応援してくれるって、叶ってほしいって言ったじゃん。


それなのに、どうしてそんな簡単に裏切れるの?


花音は親からの愛情もちゃんと受けて育って
学校にも行けて、なに不自由なく毎日を過ごしてるのに。


なにもない私から……なんで唯まで取ろうとするの?



ねえ、痛いよ。


胸が痛くて、怒りの矛先をどこに向けたらいいか分からなくて。


私の隣には……誰も慰めてくれる人もいない。



初めから、幸せなんか望んじゃいけなかったのかもしれない。


私が唯と出会ったのは。

唯が花音に出会うための、ただの道しるべにすぎなかったのかもしれない。




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